群馬の廃校に佇む「二宮金次郎」がブッ飛びすぎてると話題 一体なにごと?制作者に聞いた
薪を背負って読書する姿で有名な「二宮金次郎」の銅像。
働きながら学ぶ、勤勉な態度を表現した像はかつて、全国各地の小学校の校庭にも置かれ、児童の手本とされていた。
いまでは多くの学校から撤去され、令和の子どもたちは見たこともないかもしれない。
2021年7月12日、次のようなツイートが投稿され、いま話題となっている。
写真は、読書しながら歩いている「二宮金次郎」のようだが、背中に背負っているのは、どうやら薪ではなさそうだ。
なんだかジェット推進機のような、ロケットのような......。勢いよく噴射しながら、飛び上がっているではないか。
「ここまでブッ翔んでる二宮金次郎は最初で最後だと思う」というコメントが添えられている。
投稿者の「廃校探訪5000件」(@haiko5000)さんのツイートには、6万4000件を超える「いいね」が付けられ、今も拡散中だ(7月13日夕現在)。
ツイッターにはこんな声が寄せられている。
「物理学の本読んでそうw」
「SF小説を読んでる時の金次郎」
「ページが風圧に耐えられなくなって ペラペラめくれてまうがな」
「ビューンと飛んでく 二宮金次郎」
「鉄人二宮金次郎28号!」
「ジェット二宮金次郎ってwww」
いったいこれは何だろう? 投稿者「廃校探訪5000件」さんと、銅像の作家・飯野哲心さんに聞いてみた。
ロケットを背負った少年と二宮金次郎像が合体!
投稿者「廃校探訪5000件」さんによると、撮影場所は1990年に閉校した中之条町立第四中学校(群馬県)。
この場所は群馬県人口200万人記念映画「眠る男」(96年公開)の撮影拠点として使われた際に「伊参スタジオ」と名付けられ、現在は伊参スタジオ公園となっている。
そこに設置されている二宮金次郎像については、「芸術祭・中之条ビエンナーレにて展示されていたものだと思います」とのこと。
調べてみると、これは飯野哲心さんという美術家の作品だった。
Jタウンネット記者は、飯野哲心さん本人に話を聞くことができた。
「2013年の中之条ビエンナーレ作家募集に応募して、無事選出されました。
制作当時、ロケットを背負った少年の作品のアイデアをあたためていました。そしてビエンナーレに参加が決まり、展示会場に木造校舎の元中学校を選び、ここにどんな作品を置いたら良いかなと考えた時に、少年のアイデアと二宮金次郎像が頭の中で合体しました」(飯野哲心さん)
中之条ビエンナーレは、群馬県吾妻郡中之条町で2年おきに開催される国際芸術祭だ。07年以来、海外作家も含めた多くの参加作家が、地域住民との交流を続けながら開催してきた。
今年も9月11日から10月11日まで、中之条ビエンナーレ2021が開催予定だ。
飯野哲心さんが参加した13年のビエンナーレには、114組の参加アーティストが、町内37か所で展示したという。
「かつて伊参スタジオに訪れたことがある方々が、今回ツイッターに、ご自身で撮った画像をつけてコメントされているのを見て、とても嬉しかったです」(飯野哲心さん)
大学時代お笑い同好会に所属していたという、飯野さん渾身の作品「ジェット二宮金次郎」は、今も見学者の心の中で飛び続けていたわけだ。