「大雪のゲレンデで、車のカギを紛失。着替えもお金も閉じ込められ、家族5人でなすすべなく...」 (山口県・50代男性)
車での旅行中に注意したいのが、鍵の紛失だ。
特に、海や山、あるいは雪原といった大自然の中で遊んでいる時に、万が一鍵を落としてしまったら......見つけるのは絶望的かもしれない。
荷物もお金も車の中だし、移動もできない──そんな絶体絶命のピンチに、手を貸してくれる地元民がいたら、まさに地獄で仏に出会ったように心強いに違いない。
コロナ禍でなかなか旅行に行けない今、かつての楽しい思い出を振り返ろうとJタウンネットが「旅先でのいい話」を募集したところ、山口県の50代男性・A照さん(仮名)から、そんなエピソードが寄せられた。
「家族の雰囲気を見て大丈夫と思いました」
10年ほど前、一家5人で島根県にスキーをしに行ったA照さん。
さて帰ろう、とスキー場を後にしようとしたのだが、どこかで落としてしまったのか、車のキーが見当たらない。
「あいにく大雪の日で、ゲレンデから探し出すのは不可能に近い状況でした。イモビライザータイプなので、業者で合鍵を作っても車のエンジンはかかりません。
大雪でタクシーも来られない中、友達や家族に迎えに来てもらうのはあまりにも危険です。近くに泊まるしか方法はありませんでした。しかし、着替えもお金もすべて車の中という詰んだ状況。
妻と、4歳・7歳・10歳の3人の子供とともに、私はスキー場難民となってしまいました」
絶体絶命のA照さん一家。
スキー場の社長は親身になって、閉館時間をすぎた後も泊まれる場所を探してくれた。おかげで、1件の旅館が見つかった。
しかし、そこまでは車で40分かかるという。A照さんたちには、行く足がなく......。
「旅館に事情を説明したところ、大雪の中、支配人自ら迎えに来てくださいました。
旅館に着くと暖かい食事を出してくれて、これからどうすればいいか一緒に考えてくれました」(A照さん)
結局、往復8時間かかるが、電車で家までスペアキーを取りに帰るしか方法がない、という結論に至ったA照さんたち。しかし、駅までは車で1時間かかり、やはりそのための足がない。
なんとか駅に着いたとしても、自宅まで帰るまでの電車賃もない。
再び壁にぶつかるA照さん。すると、旅館の支配人が、
「駅までは私がお送りします。あとはこれを使ってください」
と封筒を差し出した。
「中には3万円が入っていました。涙があふれて止まらなかった」(A照さん)
そうして自宅に帰りつき、スペアキーを取ったA照さんは、旅館に戻るために駅から雪道走行ができるタクシーを予約。A照さんは、ここでも思わぬ親切に助けられた。
「運転手さんに事情を聞かれ、恥ずかしながらすべてを話すと、メーターを1万円で切ってくれたんです」
「無事旅館に帰り、支配人さんにお金をお返しするときに、『なぜ、私たちを信用してくださったのですか?』と聞くと、『家族の雰囲気を見て大丈夫と思いました。私も旅先で人に助けられたことがあるので』とのことでした。
子供たちは泊まれてラッキーぐらいに思ってたでしょうが、私と妻は泣きながら家路につきました。
スキー場の社長、旅館の支配人、タクシーの運転手さん、そしてあの日の夕食の温かさは一生忘れません」
「忘れられない旅先でのエピソード」、教えて!
コロナ禍で旅行に行きづらい今、せめて過去の旅行の素敵な思い出を振り返りたいという人も多いだろう。
そこでJタウンネットでは読者の皆様の「旅先のほっこりエピソード」を募集したい。
読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、旅行に行った時期・場所、具体的なエピソード(どんなことにほっこりしたのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度~)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。