同じ「鳥中華」なのに、こんなにも違うとは... 山形ご当地麺を再現したカップ麺&棒ラーメンを徹底比較
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第五十八回 山形のご当地麺「鳥中華」の商品2品 文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。「ご当地カップ麺」をレビューする連載の第五十八回目となる今回は、山形のご当地ラーメンである「鳥中華」の味を再現した2商品、みうら食品の棒ラーメン「そば屋の中華 鳥中華」と、ヤマダイのカップ麺「ニュータッチ 大盛山形鳥中華」をご紹介します。
そばつゆに中華麺を合わせた山形のご当地麺
「鳥中華」は、山形県天童市のそば店で供されていた賄い料理が起源とされ、蕎麦つゆを使ったスープに中華麺を入れた和風のラーメンです。
山形県では主に蕎麦店で供されていて、ご当地麺の多い山形の麺料理のひとつです。
ちなみに、同じく蕎麦つゆのような和風のスープに中華麺を合わせた麺料理として、姫路の「黄そば」、姫路駅の「えきそば」があり、これらもカップ麺化されているので、いずれご紹介できればと思います。
山形は食が豊かで、芋煮や米沢牛、玉こんにゃくなどに加え、麺料理も「板そば」、「ひっぱりうどん」、「冷やしラーメン」、「赤湯ラーメン」、「米沢ラーメン」、「とりもつラーメン」などなどかなり種類豊富。
「鳥中華」は果たしてどんな味なのでしょうか。
棒ラーメン「そば屋の中華 鳥中華」
まずは、「鳥中華」の棒ラーメン、みうら食品の「そば屋の中華 鳥中華」。
みうら食品は、山形県東根市にある製麺会社で、地元の名物である「鳥中華」や「板そば」の乾麺を製造販売しています。
「マルタイラーメン」などと同じく棒ラーメンタイプの乾麺2食入りで、スープ付きです。
外装を取ってしまうと中身は結構素朴な印象。麺とスープしか入っていないので、具は自分で用意する必要があります。
今回は、「鳥中華」によく入っている鶏肉と揚げ玉を用意。
鶏肉はちょっとリッチにお酒のおつまみに買っておいたやきとり缶、揚げ玉は近所のスーパーに雨の中ダッシュで買いに行ったえび入りのものを使用。
そして写真には映っていませんが、ねぎを用意。お店だとその他に刻み海苔が入っている場合もあるようです。
醤油色のスープは、意外にもやさしい味わい
麺を茹でて、お湯で溶いたスープと合わせ、具をのせた状態。鶏肉(やきとり)と揚げ玉、ちょっと多すぎましたかね。思いのほかリッチになってしまいました。
真っ黒な醤油色のスープと太い麺が特徴的です。
いかにも塩辛そうな蕎麦つゆという色合いですが、味は案外あっさり。
鶏ガラのベースに薄めの醤油味で、甘みがつけられていてやさしい味わいです。やさしい味が好きならば規定のお湯の量で良いですが、塩気の強い濃い味が好きならばちょっと少なめにしてみても良いかもしれません。
本格食感のストレート麺
麺はちょっと太めで表面のつるみが特徴的なノンフライ麺です。
スープは和風だしで蕎麦風ですが、麺は中華麺。太さの割にはちょっとやわらかいので、コシを重視するなら茹で時間は少し短めが良さそう。
麺量は1人前90グラムで、カップ麺換算だと大盛サイズ。同じ棒ラーメンの「マルタイラーメン」などと比べてもちょっと多めでした。
ストレート形状でみずみずしく、カップ麺に比べると本格食感の麺なので、大きな強みと言えるでしょう。
棒ラーメンは「あっさり系」、カップ麺は「こってり味」
続いては「鳥中華」のカップ麺、ヤマダイの「ニュータッチ 大盛山形鳥中華」。
「ご当地満腹食堂」というシリーズの商品で、スーパーやドラッグストアを中心に扱われています。大盛なのに定価180円(税別)で手に取りやすい価格設定。
このシリーズは他に、「八王子ラーメン」、「大阪かすうどん」、「名古屋カレーうどん」、「長岡長岡醤油ラーメン」があり、いずれも他社のカップ麺では見かけることがそれほど多くないご当地ラーメンが再現されています。
蕎麦つゆ風の真っ黒なスープですが、鶏ガラベースにかつおだしをガツンと効かせています。甘みもしっかり強く、先ほどの棒ラーメンに比べると蕎麦つゆ感がさらに強いのが特徴的。
スープ表面に浮いている油からも、鶏やかつおがふわっと香り、スープの濃厚感を高めています。
同じ「鳥中華」を再現していても、先ほどの棒ラーメンがあっさり系なのに対し、こちらカップ麺は明らかにこってり味に振っており、大きな違いがありました。
麺は中細で縮れのついた油揚げ麺で、麺表面のつるみと弾力が感じられる多加水麺食感。良くも悪くもカップ麺らしい麺で、特にこの商品のために開発されたわけではなく汎用麺だと思われます。
ノンフライ麺で本格感のある棒ラーメンの方が麺には強みがありそうですが、カップ麺は湯戻し調理でお手軽なのが強み。麺量は90グラムでこちらも大盛サイズとなっています。
具として入っているのは、鶏肉、揚げ玉、ねぎ。
揚げ玉がスープのこってり感をさらに高めています。鶏肉はかたい食感で量はちょっと少なめですが、大盛で安価な価格設定の商品と考えると納得できる範疇ではないでしょうか。
同じ「鳥中華」でも味の違いが面白い
山形のご当地麺「鳥中華」を再現した2商品を食べてきましたが、棒ラーメンはあっさりスープに本格的な食感のノンフライ麺を合わせているのに対し、カップ麺はこってりスープにカップ麺らしい油揚げ麺の組み合わせ。
同じ「鳥中華」を再現していても両者には大きな違いが見られたのが面白かったです。