なんだかゾクッとする... 「ガードレールを吸収した木」に注目→なんでこうなるの?樹木医に聞いた
自然物が人工物を吸収してしまった――。
そんな投稿が、ツイッターで注目を集めている。
これは、写真家の高木健汰郎さん(@takaki_heisei)さんが2021年5月4日に、自身のツイッターアカウントに投稿したもの。現在工事中の、麻布郵便局跡(東京都港区)の前にある道路で撮影したそうだ。
どこにでもあるようなガードレールのそばに、背の高い木が生えている。
この木をよく見ると、下の部分にガードレールが埋まり、木の表面もその形に盛り上がっている。
まさに、「人工物が自然に吸収」されているよう......。
ツイッター上では、
「ゾクッとする」
「スゴイけどはじめましてな光景過ぎて逆にきもい」
「ウルトラ怪獣とかが最初に擬態してるシーンみたい」
など、驚きの声が寄せられている。
この木は、いったいなぜこんなことに?
Jタウンネット記者は7日、樹木医で石黒植物園(三重県鈴鹿市)の代表取締役を務める石黒秀明さんに話題の写真を見てもらい、詳しい話を聞いた。
日本トップクラスの「飲み込みの木」
石黒さんによると、写真の木は、スズカケノキ科の「プラタナス」。街路樹などに広く用いられる木だ。
「樹木は二次肥大成長(年輪成長)といって毎年まいとし年輪分づつ太くなっていきます。 その時になにか障害物に当たると、まず、その障害物を押しのけようとします。しかし、押しのけられない!と判ると、今度は飲み込もうとします」(石黒さん)
写真のプラタナスがガードレールと合体したようになってしまった原因は、この「二次肥大成長」。肥大成長とは、太さを増す成長のことを指す。
「障害物を越えて形成層が細胞分裂し、木部(もくぶ)をどんどん肥大方向へ発達させ結果的に飲み込んだような形になる」そうだ。
アスファルト舗装にヒビが入り、割れているのを見たことはないだろうか。
あれも根っこの肥大成長によるもので、成長していく木がいつまでたってもアスファルト(障害物)を飲み込めないので、結果的にそれを押し上げ、破壊してしまうのだという。
今回のように、木が人工物を飲み込んでしまうことはよくあるのだろうか。
石黒さんは、
「都会では(田舎でも)比較的よく見かけると思います。
木と障害物の位置関係が大きいでしょう。
そしてなにより、樹種による差があります。肥大成長の早いものほど、飲み込みやすいと言えるでしょう。
プラタナスは『飲み込みの木』のトップクラス(日本で)です。クスノキなども有名です」
と、教えてくれた。
「ネットで、『飲み込みの木』と画像検索すると、いろいろと出てくるでしょう」
という石黒さんの助言を受け、調べてみた。
すると、出てくる出てくる。看板やフェンスと合体した木や、なんとバイクと一体化したものまで。いったいどのくらい放置されていたのだろうか......。
今後、街で「飲み込みの木」を見かけたら、それまでの木の成長過程を想像してみるのもいいかもしれない。