中国地方民が使う言葉「しわい」とは? 固いお肉を食べたとき、大変な仕事のとき...
日本各地には、その地域でしか伝わらない方言が多く存在している。
そのため、
「地元では一言で表現できるのに...」
「標準語にすると意味が変わってしまう...」
地元以外の場所で、そんなもどかしい思いをしている人も多いとか。
Jタウンネットではそんな「意味が限定的すぎる方言」または「標準語では説明できない方言」の情報を募集している。
今回は、全国の読者から届いた投稿メールの中から、島根県から届いた意味が限定的すぎる方言「しわい」を紹介する。
神奈川県出身で、標準語にしか馴染みのない筆者はその響きから、皺が寄っている衣服を想像してしまうが、そうではない。では、いったいどんな意味なのか。
骨が折れるときは......
島根県出身の50代女性から、編集部にこんなメールが届いた。
「私の出身地の島根県益田市、石見地方で使われる方言です。
『しわい』、噛み切りにくい、ほねがおれるという意味。
『この鶏肉はしわくて食べにくい』、もしくは『今日の仕事はしわくていたしかった(しんどかった)』というふうに使います。
現在、京都在住ですが、関西でも同じ意味の使い方をする言葉が見当たらず、説明が難しいです。
『鶏肉が硬い』ではカチコチのイメージで、意味が違う感覚を覚えます。この言葉を使う地域の人は、他の言葉で言い換えることができないと感じていると思います」
お肉が「しわくて」食べにくい、仕事が「しわくて」しんどかった――
シチュエーションはずいぶん異なっているように感じるが、確かにどちらも骨が折れる作業であるという点では一致している。しかも、投稿者は別の地方の言葉や標準語に言い換えようとすると、同じような意味が見つからず、困っているとか。
これはまさに、意味が限定的すぎる方言であり、なおかつ標準語で説明するのが難しい方言といえるのではなかろうか。
この言葉を「日本方言辞典(小学館、ジャパンナレッジ版)」でひいてみると、地域によって、さまざまな使い方をされていることがわかった。だが、中でも
「芯があったり繊維質だったりして噛みきりにくい」
「歯切れが悪い」
といった意味では、投稿者の出身地である島根県をはじめ、岡山県、山口県、少し離れて新潟県佐渡で使われているようだ。また、島根県と広島県では
「骨が折れて苦しい」
「難儀だ」
といった意味でも使われているとのことである。
ちなみに、漢字で書く場合は「撓い」となる。皺ではなかったようだ。
この「しわい」、実際にはどのように使われているのか。
ツイッターで調べてみると、岡山県や島根県のユーザーと思しき人たちの
「買う時から予測はしてたがこの肉めちゃくちゃしわいぞ」
「噛み切れない肉のこと『しわい肉』ってみんな言わないの???」
「もつ鍋美味しいけど肉しわいのきらい」
「岡山弁の『しわい』は噛んでも噛み切れないゴムの様な肉を『しわい肉』と言ったりします。標準語では、筋肉や、安い牛肉にありがちな噛んでも噛んでも口に残って飲み込むまでに時間がかかる肉を一言で表す言葉が見当たらないのですが、岡山弁では『しわい』の一言で済むのですごく便利です」
といったつぶやきが。また、投稿者のメールにもある通り、
「あ~今日も仕事しわい 早くお家に帰りたい...」
「仕事、だいぶしわい」
と「骨が折れる」といった意味で使用しているユーザーたちも見かけた。
地域によって、少しずつだが意味も変わってくるようだった。
今後「しわい」肉を食べることがあれば、ぜひ使ってみようと思う。もちろん、お肉は柔らかいにこしたことはないのだが......。
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