高知人「お前『のう』が悪いろ?」←悪口ではなく、気遣ってくれています【標準語では説明できない方言】
「高知県民には本当に便利な言葉です」
大阪府在住の50代女性から、編集部に届いたのはこんなメールだ。
「生まれ育った高知県では誰もが使う言葉で、『のうが悪い』と言うのがあります。
この言葉は限定的ではなく、色んな場面で使います。例えば、着心地が悪い服を着てしまったら『のうが悪い』、使い勝手の悪い道具を使ってしまったら『のうが悪い』...そして面白いのが体の具合が悪い時、それが頭ではなくても『妙にのうが悪い』などと言い、年齢層によっても多くの意味を持つ、高知県民には本当に便利な言葉です。
このニュアンスは標準語にはなかなか置き換えることが出来ないと思います」
着心地が悪くても、道具の使い勝手が悪くても、体調が悪くても、「のうが悪い」......。
なんて便利な言葉なんだ。
この方言について調べてみると生活創造工房(高知県)が運営するウェブサイト「Web高知」では、
「具合が悪い」
こと、と意味が掲載されており、
「服を後ろ前に着たらのうが悪いろう?」
「のうが悪うないかよ、その服は」
といった使用例が説明されていた。ちなみに発音は、「の」にアクセントがついており、標準語の「脳」と同じである。
また、高知県のプロモーションサイトである「高知家の○○」が2017年3月25日から4月13日に調査した
「県外に出るまで、高知県の方言だと知らなかった言葉はありますか?」
というアンケートにおいて、「ある」と答えた40%の中で、一番選ばれていた言葉がこの
「のうが悪い」
であった。
それほどまでに高知県では馴染み深いこの方言について、ツイッターでは、地元民と思しきユーザーによる
「患者さんの体位整えたあとに『のう悪くないです?』て聞いたりする」
「高知の方言で『のうが悪い』は居心地が悪いこと。『この椅子背が高すぎてのうが悪い』とか」
「高知では勝手が悪い、能率が悪い事を『のうがわるい』と言います」
「高知は『服が小さくて動きづらい』とか『座り心地が悪い』とか、体調以外の具合が悪いことなんかに『のうが悪い』と言う」
といったつぶやきが見受けられた。
これを見る限りでは、使い勝手が悪い、といった意味で使っている人が多いような印象だが、中には「体調が悪いときに使う」というユーザーの声もあった。
また、この方言についてこんなツイートも。
「『のうが悪い』は、県外の人に言う時は気をつけないと誤解されますよね」
「『のうが悪い』も、使い方によっては県外の人に怒られる。文字のとおり『脳が悪い』と思われるから」
「東京から高知に引っ越した小学校初日、、ガタガタする椅子に座ってたら隣の男の子に『お前のうが悪いろ?』と言われ勘違いして泣いて帰った」
確かに、いきなり「のうが悪い」と言われたら、悪口を言われたのかと思ってびっくりしてしまう。
イントネーションも、標準語の「脳」だったし......。
しかし、高知県民から「のうが悪いろ?」と声をかけられることがあったら、それはこちらを気遣ってくれているのかもしれない。ぜひ、覚えておこう。
あなたの地元の「意味が限定的すぎる方言」教えてください
読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、あなたの地元と、そこで使われている「意味が限定的すぎる方言」または「標準語にするのが難しい方言」、その使用例(200文字程度~)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。