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クマに遭遇したらどうすれば...? 状況別の対処法をまとめた掲示が「本当に知りたかった情報」だと話題に

松葉 純一

松葉 純一

2020.12.01 06:00
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コロナ禍にあって、キャンプの人気が高いという。キャンプ用品やアウトドアグッズの売れ行きも良いらしい。密になりがちな都会の雑踏を離れて、大自然の中を散策するのは、最高の楽しみの一つだろう。

ただ気をつけなければならないこともある。そう、クマである。

2020年11月18日に投稿されたこちらのツイート。写真に映っているのは掲示板のようだ。よく見ると、「出会ってしまったら?」という見出しが見えるが、これは何だろう? 「もしクマが近づいてきたら?」という見出しもある。

どうやら、クマに注意しろ、という主旨の掲示板のようだ。

「絶対に逃げ出さない」「出会った時の姿勢を急に変えない」「クマの目を凝視し、顔や体をそらさない」などといったことは、初歩の初歩らしいが、読者はご存じだろうか。

メン獄さん(@uudaiy)が投稿したこのツイートには、4万3000件を超える「いいね」が付けられ、今も拡散中だ(11月29日夕現在)。

Jタウンネット記者は、この注意書きを掲示している阿寒湖畔エコミュージアムセンター(北海道釧路市)に、詳しい話を聞いてみた。

「もしクマが近づいてきたら?」

改めて掲示板を見てみよう。

「出会ってしまったら?」「もしクマが近づいてきたら?」「クマに組み伏せられた場合」「正しい死んだふり」「死んだふりをしても助からない場合」など、シチュエーション別に細かなアドバイスがまとめられている。

メン獄さん(@uudaiy)のツイートより
メン獄さん(@uudaiy)のツイートより

ちょっと気になったのは、「そっと鉈を手にする」という項目だ。なた、ナタ、鉈......、あなたは常備しているだろうか。「クマの不心得を諭す呪文を念じ、気持ちを落ち着かせること」という項目もあるが、いったいどんな呪文が効果的なのだろう。

「どんな場合でも、背中を見せて走り出さないこと」とあるが、これが難しそうだ。一目散に逃げ出したくなるにちがいない。「襲いかかられたら、鉈の背部で鼻ずらを滅多打ちすること」とも書かれている。そんな恐ろしいこと、とてもできそうもないが...。

話題になったツイートの投稿者・メン獄さんにも、この掲示の中で、もっとも印象的だった点を聞いてみた。

「鉈がカジュアルに登場しているところですね。必需品なんだな......と驚きました」

やはり、いきなり鉈が登場するところが衝撃だったようだ。

「普段東京にいるので獣害については危険を感じることはないです。釧路湿原を歩いているときは、もし熊に遭遇したらまずいなと思いながら歩いてました」とメン獄さんは語った。

クマに組み伏せられたら「諦めずに最後まで抵抗しましょう」。メン獄さん(@uudaiy)のツイートより
クマに組み伏せられたら「諦めずに最後まで抵抗しましょう」。メン獄さん(@uudaiy)のツイートより

次に、Jタウンネット記者は、このクマ注意の掲示板を設置している阿寒湖畔エコミュージアムセンターに電話で聞いた。

Jタウンネット記者の取材に答えてくれたのは、自然観察員だった。「あのクマの掲示を作ったのはかなり前のことで、その当時の担当者ももう在職していませんので、事情はよく分からないのですよ」と申し訳なさそうに答えた。

「阿寒湖周辺では、クマに遭遇したという話はあまり聞いたことはありません。小学生はランドセルにクマ除けの鈴を付けたり、大人もクマが出そうなところは避けて通るからだと思います。

例えば、クマはドングリやキノコが大好きなのですが、地元の人は、クマが出没しそうな場所は避けるようにしています。クマに出会わないための方策を熟知しているからでしょうね」

鉈よりも「クマ撃退スプレー」を

そこで、恐る恐る例のことを聞いてみた。......やはり鉈は必需品なのだろうか?

「最近は、クマ撃退スプレーの方が一般的だと思います。唐辛子を濃縮したような成分で、さすがのクマも逃げ出すそうです。7メートルくらい前で、クマスプレーを噴射すれば、追い払うことができると聞いています。

鉈は木の枝を払うためには必要だと思いますが、突然クマと出会った場合のためは、クマ撃退スプレーを持ち歩く人が多いのではないでしょうか」

クマ撃退スプレーはエコミュージアムセンターで販売しているのだろうか。「いえいえ、登山用品店やオンライン通販でお買い求めになるのがよろしいかと思います」と自然観察員。

山の中で、ばったり出会うのが、いちばん恐いらしい。急な曲がり角では、前もって手をたたいたり、声を出したりして、警告する方が良いそうだ。クマ除けの鈴も効果があるかもしれないとのこと。

山歩きをする場合は、二人以上のグループで行動して、けっして単独行動はしないこと。地元の自然を熟知したガイドが同行するツアーに参加することをおすすめしたい、と阿寒湖畔エコミュージアムセンター自然観察員は語った。

「クマに組み伏せられたら」「正しい死んだふり」などという項目を熟読して、心配するより、まずクマに出会わないようにするためのノウハウを知ることが重要だという。そういった知恵を身に付けた指導者に引率してもらう方が安心だということだ。

阿寒湖の冬は、ダイヤモンドダストやフロストフラワーなどが人気で、スノーモービルやワカサギ釣りの観光客も多い。スノーシューツアーなども盛んだというが、なるべくツアーに参加される方がいいだろう。

雪の上で、ヒグマの足跡が発見されることもあるからだ。

冬眠しそこねたクマとばったり出会ったりしないように、熟練のツアーガイドの指示に従って、ゆっくり楽しんでもらいたい。

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