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柴又駅では路線図が「寅さん」の顔になっている...? 聖地で発見された粋なアートが話題

井上 慧果

井上 慧果

2020.11.26 06:00
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「寅さん」路線図の正体は...

Jタウンネットはこの路線図の詳細を知るべく、京成電鉄を取材した。

広報担当者によれば、この路線図は19年10月8日から掲示されているもの。

その掲示の経緯を尋ねると

「制作されたのは、寅さんが大好きな鉄道設計技士の大森正樹様で、寅さんを題材にしたアート作品を競う『寅さんファンアートコンテスト』で最優秀作品賞を受賞されました。
柴又の寅さん記念館に展示された受賞作品であることから、駅のイメージアップにつながるなどとして、大森様側に展示をお願いすることになりました」

とのこと。

実はこの路線図、本物の路線図ではなく「寅さん」のアート作品だったのだ。

近づいて見てみると、寅さんの顔を描くカラフルな線の、通常駅名がかかれる部分には「男はつらいよ」や「続 男はつらいよ」などタイトル名が書かれている。また、寅さんの目にあたるグレーの部分には「寅次郎」「さくら」など登場人物の名前が...。

駅名の部分が映画のタイトルになっている(画像は映画「男はつらいよ」公式ウェブサイトより)
駅名の部分が映画のタイトルになっている(画像は映画「男はつらいよ」公式ウェブサイトより)

この作品、当初は柴又駅のトイレリニューアル工事に伴い設置された仮設トイレに期間限定で掲示する予定だった。しかし、評判が良かったためその後、同駅の上りホーム京成高砂側に設置されたのだという。

駅利用者からの反応について、

「路線図が寅さんのアートになっている事にお気付きになられたお客様からは、『驚いた』や『面白い』といったお声をいただいております」

と担当者は話した。

Jタウンネットは24日、制作者である大森正樹さんにも取材し、この路線図アートについて詳しい話を聞いた。

千葉大学でデザインを専攻していたという大森さんは、普段は鉄道会社で働きながら

「野球と鉄道とデザインの関係をまじめに考えて、楽しいデザイン作品を作ったりしてます」

とのこと。また、母校で非常勤講師として路線図デザインを教えてもいるという。

今回、話題となった作品「Tiger Railway」の制作期間は1週間ほど。「会社から帰ってから夜中にコツコツと」仕上げたものだそう。

早速、作品のこだわりと聞くと......。

「こだわりは、路線図のデザインの基本をしっかりしてます。でないと騙せませんから。
あとは寅さんが1作目から50作目までを、一回りして、お帰り寅さん!となるところ。
あと(路線図の)右下は、京成さん、JR常磐線、山手線、江戸川と、リアルにつくってます。だから、ほんとかなあ、と思わせるんです。タイトルのTiger Railwayは、寅さんだから、タイガー。でもロゴは阪神タイガースみたいにしてます。これは私がとんでもない阪神ファンなので」

とのこと。ちなみに、生粋の阪神ファンだという大森さんはタイガース路線図も制作したことがあるそうだ。

大森さんは、この作品への思いを

「とにかく、楽しんでもらいたいなあというのがあります。
騙し絵のように、最初きづかないけど、あとから、あれ?て思う反応が、一番嬉しいです。騙すと言っても、騙されたことでハッピーになることが狙いだから、騙すのがゴールでなく、ハッピーになるのがゴールです」

と話す。

どうやって路線図を寅さんの顔に見えるようにしているのか。そのコツを尋ねると

「寅さんに見せる技は、できるなあ、とイメージすれば、なんとかなります」

といった回答だった。大森さんは路線図アートについて、

「路線図デザインは大学で教えるくらいのプロですので、こうした遊びのあるものは楽しみながら作ります。路線図は、世の中の人々に親しまれたフォーマットですので、それを使っていろいろな情報を楽しく提供できたら良いな、と思っています」

とコメントした。

最後に、今回この「Tiger Railway」がツイッターで話題になったことの感想を聞いた。

「今回、こんなに話題になり驚いてます。

昨年10月に掲出された時に、もっと話題になるかなあ、と思っていたら、そんなに話題にならず、こんなものかなあ。と思ってました。
しかし、なにがきっかけかわかりませんが、こんな話題になり嬉しく思います。
しかも、大人が気づかず、お子さんが気づいて驚く! 一番嬉しいリアクションでした。
この勢いで、全国に路線図アートを掲出できたらいいなあ、と妄想してます。まずは阪神甲子園駅にタイガース路線図を!」(大森さん)
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