ここは料亭...?いいえ、眼科です あまりに豪勢すぎる病院食が話題に→こだわりの理由を広報に聞いた
まず、上の写真をご覧いただこう。なんと美味しそうな料理が並んでいるではないか。けっこう高級なお店かもしれない。できれば日本酒を一杯いただきたい、そう思った方もいるにちがいない。
でも、残念ながら、お酒はダメなんですよ。なぜならこれは、病院食だから......。
2020年7月中旬、海外在住とみられるツイッターユーザーの投稿をきっかけに、日本の病院食が話題になった。
そのユーザーは、日本に住む友人から送られてきた病院食の写真に
「日本は料亭で目の手術ができるんですか?」
とコメントをつけて投稿。投稿者の友人の夫が、目の手術をするために入院した際に出されたという病院食は、まさに料亭の料理のように彩り豊か。大きなお盆の上に、ちらしずしや煮物、色付き麺やデザートが並んでいた。
ツイートを見た人からは、こんな声が寄せられていた。
「御茶ノ水の某眼科ですかね。(略)祖母が白内障の手術で入院してた時に送ってきた写真を見て、料亭かなと思いました」
「私もレストランで出産しました!笑」
「日本の病院食、美味しいところが多いのかしらん?」
他にも、料亭やレストランのような病院食が出る病院に入院していた、という複数のユーザーが病院食の写真付きでリプライを送っていた。
一方で海外の病院に入院した経験のある人からは、「羨ましい」といった声も。日本の病院食はそんなにレベルが高いのだろうか。
Jタウンネット編集部は、ツイッターで病院食が豪華だと名前が挙がっていた御茶ノ水の眼科、医療法人社団済安堂・井上眼科病院に取材し、詳しい話を聞いた。
「食事がおいしい」は病院選択肢の一つ
Jタウンネット編集部の取材に答えてくれたのは、井上眼科病院広報課の担当者だった。
病院食のクオリティに力を入れているのはなぜなのだろう?
「井上眼科病院には『歴史』や『信頼』、『技術』といった長年積み重ねた強みがあります。そこに『食事がおいしい』という、患者さまに病院を選んでいただく際の一つのプラス要素となるよう力を入れています。
眼科は他の診療科と異なり『眼』以外に関しては健康な方が多いことが特徴です。そのため、食事の制約が少なく食材のバリエーションを広げられ、様々な趣向を凝らした食事を作ることができています。
さらに、『病院食は治療の一環』という理念に加え、見えづらい患者さまに食べやすくおいしい食事を楽しんでいただきたいと思っています」
月に1回実施している「行事食」では、「あじさい御膳」「七夕御膳」といった四季折々のイベントをイメージした食事を提供しているという。
料理を作っているのは、どんな人なのだろう?
「和食や中華で修行しそれぞれの技を習得した調理師が、病院給食のプロフェッショナルとして毎日心を込めて料理を作っています。食べやすく、おいしい食事を患者さまに召し上がっていただけるよう、日々努力を重ねています」
そんな人が作ってくれる、こだわりの病院食。料金は高くないのだろうか?
そう思って尋ねてみると、
「入院中の食事代は健康保険の入院時食事療養費という制度により標準負担額が決まっています。当院も国から定められた金額で提供していますので、患者さまのご負担が増えることはございません」
とのこと。こんなに豪華なのに、負担が増えないとは驚きだ。
また、日本の病院食が豪華だとSNSで話題になっていることについて担当者は、
「海外も国や地域によって病院食に個性があると思いますが、日本もさまざまです。その病院の経営方針や立地などにより多種多様であると考えますが、病院食は入院をされる患者さまに対し思いやりのあるものでありたいと思います。
当院は今後も患者さまのためを思い、眼の見えづらい方でも食べやすく、食事の時間を楽しんでいただけるようなおいしい病院食を提供いたします」
とコメントした。
井上眼科病院は1881年(明治14年)に開設され、2021年、140周年を迎える。現在は西葛西、大宮、札幌に分院を擁する井上眼科病院グループとして発展している。