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「長ネギ」にしか見えない鉱物が発見される どうしてこんな形に?博物館に聞いてみた

笹木 萌

笹木 萌

2020.07.31 11:00
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味噌汁やラーメン、鍋料理などで活躍する長ネギ。日本ではお馴染みの食材だが、これが地球の裏側・ブラジルの鉱山で発掘されたとしたら、あなたはどう思うだろうか。

ネギにしか見えない(画像は神奈川県立生命の星・地球博物館提供)
ネギにしか見えない(画像は神奈川県立生命の星・地球博物館提供)

「当館所蔵の長ネギです。・・・間違えました。電気石です」

2020年7月26日、神奈川県立生命の星・地球博物館(神奈川県小田原市)の公式ツイッターは、上の写真とともにこうコメントした。

緑と白のコントラスト、たしかにネギにしか見えない。だれかが落としていったネギが、そのまま化石になったのではないかと疑うほどだ。

長ネギにしか見えない鉱石はツイッターで話題となり、

「長ネギの化石って初めて見ました!!」
「マジで長ネギじゃねーの?!」
「うっかり冷凍庫に入れてしまい、気づいた時には冷凍焼けを起こしてた長ネギ」
「どう見ても長ネギです(笑」

といったコメントが寄せられている。

学芸員「複雑な心境です」

Jタウンネットは30日、生命の星・地球博物館で岩石を研究する、学芸員の山下浩之さんに詳しい話を聞いた。

山下さんによると、この電気石がネギに見えると気づいたのは同館のツイッター担当者だという。

この電気石は岩石を研究する山下さんから見てもネギに見えるのか、聞いてみると、

「言われてみるとそっくりですね。ツイッターでは白菜(台湾・台北の国立故宮博物院が収蔵する『翠玉白菜」)などと比較されていますが、あれは作品です。今回のは天然の結晶で、(母岩を)割ったらあれが出てきたのでけっこう奇跡的ですよね」

山下さんによれば、このリチア電気石は、1995年に生命の星・地球博物館が横浜の神奈川県立博物館(現:神奈川県立歴史博物館)から独立するよりも前に購入されたもの。購入時点で母岩は割れた状態だったと思われるそうだ。

現在は企画展「ゴンドワナ―岩石が語る大陸の衝突と分裂―」(20年2月29日~11月8日)で展示中。ゴンドワナは約6億年前に地球の南半球に存在したとされ、分裂・移動して現在のアフリカ、南アメリカ、インド、オーストラリア、南極になったといわれている巨大大陸だ。

「この電気石はブラジルのミナスジェライス州という、有名な鉱物の産地で発掘されました。ゴンドワナができた時に、ここの鉱物も一緒にできたということで展示しています。ミナスジェライス州のあたりで火山活動が行われたことでマグマがたくさんできて、それが冷えて固まって鉱物ができました」

ゴンドワナとネギ電気石の関係について、このように話す山下さん。となるとこのネギ電気石、かなりの歴史を持つことになるが...。本物のネギではないとはいえ、なんだか不思議な感じだ。

ネギの結晶部分は約9センチ。山下さん曰く、リチア電気石はピンクや黄色など様々な色があるといい、「(形成の際に)入ってくる元素によって色が変わる」という。今回はたまたま緑と白で細長い形をしていたため、ネギに見えてしまったわけだ。

色とりどりなリチア電気石(画像は神奈川県立生命の星・地球博物館)
色とりどりなリチア電気石(画像は神奈川県立生命の星・地球博物館)

ツイッターの投稿が話題になった後、複数の人がネギ電気石を見るために来館したという。山下さんはネギ電気石が話題になったことについて、

「複雑な心境ですね。真面目に考えると展示物なので、ネギなんて言っちゃっていいのかなというのがあったので...。(でも)ツイッターだからいいかなと。こんなに反響があるとは思いませんでした」

としている。

企画展ではネギ電気石を含め、3つのリチア電気石を公開している。公式ツイッターでは他の電気石も紹介しているが、緑やピンクの結晶が美しい。気になる人はぜひのぞいてみては。

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