このタヌキは「狂狸(きょうり)」です 動物園の斬新すぎる紹介文が話題に→本当はどんな子?飼育員に聞いてみた
三重県・大紀町にある大内山動物園で飼育されているホンドダヌキのロコちゃん。その意外なプロフィール文が、ツイッターで話題になっている。
こちらが、園内に掲示されているロコちゃんの紹介文。園の職員が作成したものだ。名前と性別、動物の種類に続いて、このような記載がある。
あだ名・異名・称号:美タヌ
性格・特技・癖:危険(狂狸)
「美タヌ」はまだいいとして、問題なのが「危険(狂狸)」。
初めて聞いた単語だが、相当なおてんば...いや、そんな言葉では言い表せないくらいの問題児なのだろう。ロコちゃんの狂狸っぷりは詳細欄からも伝わってくる。
「大内山動物園が誇る美人ダヌキですが
性格のほうがよろしくなく、幾度となく職員を泣かせています
しかし、育ててくれた人だけには甘えます」
なんというツンデレ...。なんとかして振り向かせたいところだが、飼育員もかなり手を焼いてらしい。
ロコちゃんの紹介文は、ツイッターユーザーのイヌタデ(@VulpesPerson)さんがツイッターで紹介したことで大きな反響を呼んだ。ツイッターには、
「新手の妖怪みたいな称号」
「ツッコミどころが多過ぎて草」
「美人で性格が悪いってサイコー」
「ツンデレというよりヤンデレタヌキなのでは...」
といった声が寄せられている。
「人を選ぶようになってしまって...」
美しいのに狂暴。そんなロコちゃんのことが気になって仕方がない...。Jタウンネットは7月17日、大内山動物園に詳しい話を聞いた。
大内山動物園ではおよそ100種類700頭の動物たちを飼育。ホンドダヌキはロコちゃん以外にも何頭かいるという。
ロコちゃんはまだ赤ちゃんのときに千葉県内で保護され、16年6月に大内山動物園にやって来た。
「小さい頃はそうでもなかったのですが、今は割と人を選ぶようになってしまって...僕に対しては噛むこともないですし、甘えた声でお腹見せたりするんですが、それ以外の人に対しては、ものすごく怒ってきます」
こう話すのは、かつてロコちゃんの世話をしていた飼育員の齋藤孝志さん。ロコちゃんが大内山動物園に来たときから19年秋ごろまで世話を担当していた。
ロコちゃんは育ての親である齋藤さんに対しては、お腹を触られるなど「されるがまま」の状態だという。しかし、彼以外の職員には、ふとした瞬間に噛んでしまうなど、冷たい態度をとっているらしい。
説明書きの制作者は退職
話題となった説明書きは、ロコちゃんが管理棟から獣舎に移動した際、齋藤さんから世話を引き継いだ担当者(当時)が制作した。
しかし残念ながらこの制作者はすでに退職。「危険(狂狸)」と書かれている理由について、齋藤さんは、
「僕にとっては全然危険ではないですが、他の方から見たら危険に思うんでしょうね」
と推測する。
制作者はいったいどんな思いでこの説明書きを作っていたのか...。
想像するとなんだか切ない気持ちになる。
齋藤さんによれば、ホンドダヌキは特段懐きにくい動物というわけではなく、小さいころから育てれば懐くこともある。ただ、一人の人間が育て続けることで他の人には慣れないことは、ホンドダヌキに限らずあることだという。
また、「美タヌ」という表現については、
「僕ら目線になるんですけど、他のタヌキに比べて鼻がスンと長いように感じます。足も結構長く、スレンダーな感じがします」
とのこと。齋藤さんから見ても、美形の部類に入るようだ。
狂狸という紹介文が話題になったことについて、齋藤さんは、
「見た目は結構綺麗なタヌキなので、他のタヌキとは違うという点を見ていただきたいです。狂暴な面もありますが、かわいい面もあるので、親としてはできればそういうところも見てほしいと思います」
としている。