俺の知ってる折り紙と違う... 1枚の紙から生まれたシーラカンスがもはや剥製レベルのクオリティ
構想に3か月、制作期間は5日間
Jタウンネット編集部は2020年7月17日、土井さんに作品について詳細を聞いた。
土井さんは高校時代に折り紙での創作を始めた。現在は、東京藝術大学を目指して美術予備校に通っている。
今回、大きな紙でシーラカンスを作ったのは、予備校で行われるイベントに作品を出すためだという。
「シーラカンスを選んだ理由は1枚の紙でこんなものが作れるということが表現したくて、複雑な形(ヒレの数や鱗)に魅力を感じたのでモチーフにしました」
と土井さん。作品作りは、紙をどのように折っていくかを示す展開図を作るところから始まる。
「まず大きく正方形の中にどう配置するかを決めてからヒレやパーツの繋がりを実際の紙で試作しました。それからパソコンのソフトで展開図を書いていく感じです。展開図は本番の紙で折った時に変更したりもしました」(土井さん)
その展開図というのがこちら。
紙いっぱいに赤と青の線がびっしりと描かれている。赤い線は山折り、青い線は谷折りにするという意味だ。
左側が頭、右側が尾になるようだが、なぜそうなるのかは、図を見てもさっぱりわからない。
小さな四角形が密集している部分は鱗になるに違いないが、こんな紙の真ん中をどうやって折ればいいのだろう...?見れば見るほど混乱してくる。
土井さんはこの展開図を作るのに、実際に紙を折る時間の何倍もの日数を費やしたという。
「始めようと思ってから3か月くらいは展開図を考えていました。
実際の制作期間は5日です。本番で使う紙の色を塗るのに1日、折るのに3日、針金やボンドで形を固定するのに1日かかりました」(土井さん)
実際に折っていく中で最も苦労したのはやはり鱗部分。そして一番のこだわりは、使用した紙だという。
青っぽい黒と白がまだらになった大きな正方形の紙。折られた後はシーラカンスの体に複雑な模様を浮かび上がらせ、まさに「生きた化石」という雰囲気に仕立てている。
この紙は、土井さんが自分で色をつけたものだそう。
「1.5メートル四方の書道用パフォーマンス紙を絵の具と墨汁で色をつけて、白の絵の具でスパッタリング(編注・金網に絵の具を塗り、ブラシなどで上から擦ることで絵の具を霧状に飛び散らせるテクニックのこと)をしました。裏と表に塗るのがとても時間がかかりました。
スパッタリングした所が完成した時にどう見えるのかは自分でも分からず、それが完成の楽しみでもありました」
結果、本物のシーラカンスそっくりの姿になったというわけだ。
今回の作品が大きな反響を呼んでいることについて、土井さんに感想を求めると、
「こんなにもいいねが来るとは思ってなく、とても嬉しいです。
これからも自分のペースで作品を投稿出来たらなと思っています」
とのこと。次はどんな作品が生まれるのか、今から楽しみだ。