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まるで恐竜の行列... 海上に出現した謎の雲が話題→どういう現象?専門家に聞いてみた

横田 絢

横田 絢

2020.07.13 17:00
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津軽海峡で撮影された、不思議な光景が注目を集めている。

大間観光土産センター公式ツイッターより
大間観光土産センター公式ツイッターより

こちらは、本州最北端の大間崎にある「大間観光土産センター」(青森・大間町)の公式ツイッターアカウントが投稿した写真。

海の上に、なにか大きなものが映っている。波のようにも見えるが、実はこれは雲なのだそう。

Jタウンネット編集部は、撮影した同店の勝川明樹(カツカワ・アキ)さんに撮影時の状況を聞いた。

勝川さんは2020年7月5日17時ごろ、ツイッターに掲載するために、店の前から写真を撮っていた。方角は函館方面、被写体は大間崎から600メートルほど沖合にある弁天島。

その時、奇妙な形の雲に気づいたという。

「撮った写真を確認したところ左奥に見たことのない雲を見つけたので、拡大して撮りました」

と勝川さん。この写真の投稿から15分後には、すでに雲は消えかかっていたそうだ。

勝川さんの投稿は大きく注目を集め、写真を見た人からは

「恐竜大行進かと思った」
「ゴジラの群れや」
「人類の進化みたい」

など、生き物の行列に見えた、という人が続出。中にはこんな風に感じた人も...。

「『ソーシャルディスタンスを守れ』という神の啓示だと思います」
「ダイソーのレジに並びながらソーシャルディスタンスをとる客ですね」

一定の間隔をあけた雲が、ソーシャル・ディスタンシングを保っているように見えるというのだ。

この雲は、いったい何なのだろうか。

Jタウンネット編集部は9日、雲研究者の荒木健太郎さん(気象庁気象研究所研究官)にこの雲について話を聞いた。

珍しくはないが、見つけるのは難しいかも

荒木さんによるとこの雲は、「ケルビン・ヘルムホルツ不安定」という現象が起こった時に、それに伴って発生することがあるというもの。

雲がある層と無い層が上下に重なっていて、それぞれの層で風にズレがあるときに、その境界が波打つような形になるそうだ。

雲の名前は、ラテン語で「波」という意味の「フラクタス」。

話題になった写真は、空の下の方に現れる「層雲」という雲が、ケルビン・ヘルムホルツ不安定によってフラクタスになったものだという。

「今回の雲は層雲っていう雲だと思うんですけれども、ほかにも高積雲っていういわゆるひつじ雲とか、もっと高いとこにある巻雲というフワッとした筋っぽい雲でも同じようにフラクタスは現れます」(荒木さん)

とのことで、層状に雲が広がる場所ならどこででも発生するらしい。

夕焼けの中のフラクタス(荒木さん@arakencloudのツイートより)
夕焼けの中のフラクタス(荒木さん@arakencloudのツイートより)

フラクタスは、低い空なら海上が冷たくて層雲や層積雲が広がる場所や、冷たい空気がたまる盆地でも現れやすいと言えるそう。高い空なら、地形にほぼ関係なく現れる。

層状の雲さえあれば、天気や時間帯もフラクタスの発生にはあまり関係しない。

「雨とか降ってたりすると、そもそも地上からは層状の雲があるのがわからないので、出会うことはほとんどないと思います。ただ、晴れている時でも雲が多めな時でも、層状になっている雲があればフラクタスは発生することがあります。そういうときは昼も夜も関係ないと思います」

と荒木さん。

では、フラクタスとはそんなに珍しいものではないのだろうか?不思議に思って荒木さんに聞いてみると、

「そんなに珍しくはないですね。ありふれた現象ではあります」

とのこと。ただ、ケルビン・ヘルムホルツ不安定は短時間で解消されるため、フラクタスの寿命も短いのだそうだ。発生してから数分から数十分で消えてしまうことが多いので、タイミングが良くないと見逃してしまう。また、高いところにできた場合は見逃していることが多そうだ。

では、フラクタスに出会いたい場合はどうすればよいか。荒木さんはこんなアドバイスをくれた。

「層状に広がっている雲を見かけたら、探してみてください。 空を注意深く見ていると、フラクタスに出会えるかもしれません」
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