味も見た目もハッピーターンだけど... 謎の割れ煎「にこやか」に注目→その正体を亀田製菓に聞いた
甘じょっぱいパウダーがクセになるお菓子「ハッピーターン」。亀田製菓(本社・新潟市)が1976年に発売したロングセラー商品だ。
長きにわたって愛されてきたお菓子だが、実はその一部が別の名前で販売されていることをご存知だろうか。
その名も「にこやか」。製造過程で割れてしまい、ハッピーターンとして世に出ることができなかった「割れ煎」が、にこやかという名前で販売されているというのだ。
ツイッターでは、あるユーザーが紹介したことでこの「にこやか」の存在が話題となり、
「ハッピーターン(幸せ)のかけらをお裾分け→にこやか(になる)ってことですかね」
「破顔一笑、という感じと掛けられているのかな?とこちらまで笑顔になりそうですね!」
「長野県内某所で一度だけ見かけて買ったことがあります。これ幸せですよね!」
といった声が寄せられている。
しかしツイッターで出回っている画像を見る限り、にこやかのパッケージに「ハッピーターン」の文字はない。たしかに、せんべい自体は見覚えのある楕円形を割ったような形をしているが、本当にハッピーターンの割れ煎なのだろうか。
亀田製菓「フードロスの観点から...」
Jタウンネットが2020年7月10日、亀田製菓の広報担当者に確認したところ、「にこやか」はハッピーターンの割れ煎で間違いないとのこと。割れ煎の販売先である、菓子食品卸が販売している商品だという。
割れ煎の扱いについて、担当者は、
「米菓の特性上、製造工程でどうしても若干の割れ煎が生じてしまいます。割れてはいますが、味や風味、品質が損なわれているわけではないため、フードロスの観点から菓子食品卸様などに販売しております」
と説明する。
割れていること以外はハッピーターンと同じ。ハッピーターンの生産量や、割れ煎の比率については「非公開」とのことだった。
しかしなぜ「にこやか」という名前なのだろうか...。
公式サイトによれば、ハッピーターンの名前は第1次オイルショックで不景気の時に「幸せ(ハッピー)がお客様に戻って(ターン)来る」ようにと願いを込めて付けたという。ハッピーがターンした結果、にこやかになったのだろうか。
広報担当者に聞いてみたが、
「『にこやか』は弊社の商品ではないため詳細は分かりかねます。おそらく、ハッピーターンの世界観をもとにネーミングいただいた商品なのだと思っています」
との回答だった。
「にこやか」の由来、卸業者に聞いてみると...
「にこやか」のことがもっと知りたい...。そう思ったJタウンネットは「にこやか」を販売する丸武古泉商店(新潟市)を取材した。
代表の古泉幸一さん(58)によれば、先代である古泉さんの父は亀田製菓の創業者・古泉榮治さんの親戚。「にこやか」は榮治さんの妻の親戚が経営する菓子食品卸・古泉商店でも販売している。
古泉さんによれば、「にこやか」は古泉さんが店を引き継いだ33年前にはすでにあった。商品名については、
「亀田製菓の当時の担当者が決めたと思う。ハッピーターンの直訳ではないでしょうか」
としている。
丸武古泉商店で販売している割れ煎の総称は「特選お徳用あられ おせんべい」で、にこやかのパッケージにもそのように記載。にこやかは個別の名称、という位置づけだ。
にこやかは、亀田製菓の工場売店や、丸武古泉商店が運営する問屋「ご縁まんかい屋」、スーパーなどで販売している。価格は商品を卸す店によって異なるが、150グラム大体100円前後。本来なら低価格でハッピーターンの味が楽しめるお得な商品のはずだが、残念ながら最近はフリマアプリのメルカリに出品されていることもあるという。
「うちは安く美味しく食べていただこうと思って出しているんだけど、メルカリだとどうしても一袋300円以上とかになっちゃって...あんまりこういうことしてほしくないなあ」(古泉さん)
ハッピーターンから形を変えた「にこやか」、街で見つけた際は自分のために購入しよう。