実はお店より本格的? 名古屋「スガキヤ」の袋麺を食べてみたら...想像以上のクオリティに驚き
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第三十三回 寿がきや食品「カップSUGAKIYAラーメン」 文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。「ご当地カップ麺」をレビューする第三十三回目の今回は、名古屋のソウルフード「スガキヤ」のラーメンを再現したカップ麺と袋麺をご紹介します。
名古屋の元祖ご当地ラーメン「スガキヤ」
「スガキヤ」は、名古屋を中心に主にショッピングセンターなど等に展開するラーメンと甘味のチェーン店。1946年に創業し、現在は300店以上を展開しています。お店の多くが名古屋圏にあり、名古屋界隈の人にとってはスガキヤ=ソウルフード、もしくは元祖名古屋ご当地ラーメンという存在。
お店で供される「ラーメン」は、なんと税込330円という安価で、最近流行りのワンコインランチどころか、お釣りでスガキヤのソフトクリームが食べられてしまいます。味は豚骨に魚介を加えた和風とんこつ味で、懐かしさをともなうチープさと、それでいて妙に後を引く味わいを両立しています。
最近は名古屋のご当地麺である台湾ラーメンや台湾まぜそばの人気が全国区ですが、やはり地元では「名古屋といえばスガキヤ!」という人が多いのではないでしょうか。
「味噌煮込みうどん」や「辛辛魚」でも有名
今回は、そのスガキヤの味を再現したカップ麺と袋麺を食べていきますが、スガキヤのグループ会社である寿がきや食品の商品です。
全国的には、スガキヤといえば商品を全国に展開する寿がきや食品を指すことが多いですが、元を辿るとスガキヤの味を再現するために生まれたメーカーだそうです。
寿がきや食品は、スガキヤ再現商品以外にも、以前この連載でもご紹介した、名古屋名物「味噌煮込うどん」のインスタントや、最近だと「辛辛魚」というカップ麺でヒットを飛ばしています。
「スガキヤ」カップ麺と袋麺の内容物を確認
両者ともにノンフライ麺が入っていますが、麺量はカップ麺65グラムに対し袋麺は80グラムで、麺のボリュームにはだいぶ違いがあります。
袋麺の麺量はカップ麺で言うと大盛サイズくらいです。麺の形状にも違いがあり、袋麺の方はカップ麺に比べて細くて縮れが強く、ちょっと黄色が強いです。
かやくが入っているのはカップ麺のみで、袋麺で具が必要な場合は自分で用意する必要があります。今回は用意しませんでした。カップ麺には「後入れねぎ入隠し味」、袋麺には「かくし味」の袋が入っています。
カップ麺はまるでお店そのものの味!
実際にスガキヤのお店で食べたことある方ならわかるかと思いますが、この見た目、ほぼお店そのままです。スープの色、麺の形状、具の構成、どれをとってもスガキヤそのもの!
まろやかなでクセのない豚骨スープにほのかに魚介を効かせたスープです。
魚介+豚骨と言えば、カップ麺でもおなじみ「中華蕎麦とみ田」をはじめとする魚介がガツンと効いた魚介豚骨スープが流行りですが、今回のスープはそれとは違うやさしい味で、「かくし味」に入っている魚介の粉末で、風味を多少強調していました。お店に比べると魚介ちょっと強めに感じましたが、誤差の範囲でしょう。
さすが自分で自分を再現しているだけあって、おそらく使われている材料もほぼ同じなのでしょう。本家スガキヤ味にとても近いです。お店で器を替えて今回のスープが出てきても私には判別できる自信がありません。
麺は中太でストレートに近い形状のノンフライ麺です。見た目はお店の麺に近いですが、食べるとやや食感はかため。お店でかためを注文するか、カップ麺の湯戻しを5分より長くすると近くなるかもしれません。和風とんこつスープの中で程良く麺の味が感じられます。
麺量はそれほど多くないですが、お店の麺も1人前としてはちょっと少なめの軽食サイズなので、ボリュームも近いものがありそうです。
具は、チャーシューとメンマ、ねぎが入っていて、お店とまったく同じ組み合わせです。チャーシューはあまり肉感がなくてペラペラで、メンマもねぎもそれほど多く入っているわけではありませんが、お店の具もお世辞にもたくさん入っているとは言えず、ボリューム感も近いです。
単に徳島ラーメンを再現した本格的な味わいというだけでなく、インスタントのなつかしさを持ち合わせることで多くのファンに支持される味になっているのが、人気の秘訣なのかもしれませんね。
袋麺とカップ麺の違いは...
続いては袋麺。
具は入っていませんが、スープの色はスガキヤそのもの。
カップ麺に比べると魚介がちょっと弱いですが、別添の「かくし味」の粉末の量が少ないことが影響しているものと思われます。魚介と豚骨のバランスという点では、お店に近いのは袋麺でしょうか。
ただ、麺とスープを一緒に煮込むことから、カップ麺やお店のラーメンに比べると、麺の味がスープに溶け出して雑味となり、カップ麺の方がスープの味がスッキリ感じられました。
両者並べて食べ比べなければわからないような違いではあります。
麺はカップ麺やお店に比べるとひとまわり細い上に縮れも強いため、再現性は一歩後退しているように感じられます。食感もカップ麺よりさらにコシが強いため、やわらかい食感のお店の麺とはだいぶかけ離れている印象でした。
こんなことを言うと怒られるのかもしれませんが、お店とだいぶ離れた麺ではあっても、再現性を抜きにすれば袋麺の麺が本格的な食感でいちばんおいしいのではないかと思います。
離れていても楽しめる名古屋めしとしておすすめ
名古屋のソウルフード「スガキヤ」を再現したカップ麺と袋麺を食べてきましたが、さすが自分で自分の再現をしているだけあって、再現性の高さは群を抜いています。
もちろん、お店のラーメンが330円と安価で、再現するのにそれほどハードルが高くないことも要因として考えられます。
最近は名古屋めしの中で台湾ラーメンや台湾まぜそばの隆盛が著しく、まるで信長陣営における秀吉のような急成長ぶりですが、旧臣的な存在の「スガキヤ」も、おそらくは佐久間信盛や柴田勝家とは違って滅亡してしまうことなく続いていくものと思われます。
再現性の高いカップ麺と袋麺は、遠くにいても楽しめる名古屋めしとしておすすめしたいです。