都道府県ごとの駅数で見た「鉄道会社の覇権地図」がこちら
私たちの生活に欠かせない電車。都心となれば、JR、東京メトロ、都営地下鉄など異なる会社の路線を乗り継いで通勤・通学をする人も少なくない。
しかしここで一つ疑問が湧く。それぞれの都道府県では、どの鉄道会社の駅が最も多いのだろうか。
全国的に最も駅数が多いのはJRグループだが、地域別ではどうだろうか。JRに比べて地下鉄は比較的駅間の距離が短く、駅数が多い印象もある。地域によっては私鉄の駅数だって負けていないのではないか――
そんな疑問を解決してくれるのが、ツイッターユーザーのパスケース(@Pass_Case)さんが作成した、こちらの塗分けマップだ。
それぞれの地域で、駅の数が最も多い鉄道会社が、一目で分かるようになっている。東北、中国地方はJR一色で、その影響力の強さが伺える。東京、大阪の最多はそれぞれ地下鉄となっており、さすが交通網の発達した都会といったところだろうか。
JRグループは37地域を制覇
Jタウンネットは2020年5月13日、このマップを作成し、ツイッターに投稿したパスケースさんに詳しい話を聞いた。
パスケースさんは愛知県に住む18歳の男性。マップを制作した理由を「各都道府県においてどの鉄道会社が最も代表的であるかを示したかった」と話している。
改めてマップを見てみよう。JRグループが最多を占めるのは47地域中37地域。全体の8割近く(78.7%)を占めている。
そんな中でも大都市である東京は東京メトロ、大阪はOsaka Metro、愛知は名古屋鉄道(通称:名鉄)いう結果に。これらの都市ではJRの駅も多くあるが、それ以上に地下鉄や私鉄が発展している。
私鉄の中でも、名鉄(範囲は愛知・岐阜)、近畿日本鉄道(通称:近鉄、大阪・奈良・京都・三重・愛知)、東武鉄道(東京・埼玉・千葉・栃木・群馬)は、複数地域を基盤としていて、規模が大きい。
しかし、これらの私鉄が展開する岐阜・京都・埼玉・千葉・群馬ではいずれもJRグループの駅が最多となっている。
パスケースさんはこのことについて、
「大都市圏においてJRの占める割合が多いことに驚きました。これは私鉄の駅は多いものの、大手私鉄が何社もあるが故に駅数が分散してしまったからです」
と説明。たしかに関東では京急電鉄、小田急電鉄、西武鉄道、関西では阪急電鉄や阪神電鉄といった私鉄が多数存在する。それぞれの路線が合わさって人々の生活の足となっているのだろう。
その一方で、富山地方鉄道(富山)、ことでん(香川)、とさでん交通(高知)、長崎電気軌道(長崎)、ゆいレール(沖縄のモノレール)はその地域限定のローカル線。沖縄にいたってはJRの駅がなく、ゆいレールが唯一の鉄道だ。
「予想していたより四国や北陸において地方私鉄が多くなっていました。これらは路面電車を持っていたり、駅を多数設置していたりします。
つまり、地域内輸送が非常に活発だということです。JRより駅数は少なかったものの、広島電鉄や伊予鉄道(愛媛)でも同じことが言えます」
パスケースさんはローカル線の駅数の多さをこう分析する。広島や愛媛、沖縄などにおいては観光客の利用機会も多いことだろう。
パスケースさんは今後の展望について、
「JRとJR以外の駅数比較、JR以外の駅数比較をしてみたいと考えています。きっと、JRの影響で見えていなかった私鉄の面がよりわかるようになるでしょう」
と話している。