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5Gで伝わるカープ選手の息づかい 広島から始まる新しいスポーツ観戦の形

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2020.04.17 12:00
提供元:広島県
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通信大手3社が5G(第5世代移動通信システム)の商用サービス提供を開始した。

5Gでは、既存の4Gよりもさらに速く、大きなデータの送受信が可能になるだけでなく、送信と受信のタイムラグも縮小される「低遅延」、同時に多くの端末と接続できる「多数接続」などの特徴を持つ。

2020年3月15日、そんな5Gを活用したライブビューイングを行う実証実験が広島で行われた。

同日マツダスタジアム(広島市)で行われたプロ野球オープン戦、広島東洋カープと福岡ソフトバンクホークスの試合を、5G通信だからこそできる形で中継するというものだ。

ライブビューイングは、広島県の実証実験プロジェクト「ひろしまサンドボックス」の一環で行われた。18年5月にスタートしたひろしまサンドボックスは、県内外の企業や人材が協力して、最新のAI・IoT技術を使って地域課題の解決などを目指す取り組みのことだ。

県によると、今回の実証実験でも、さまざまな企業の協働が必要不可欠だったという。

5Gの技術を持つ通信事業者だけではなく、普段から試合風景を撮影している地元放送局、優れた音響技術を持つメーカーなどが、それぞれの得意分野で活躍することで、今回のライブビューイングが実現したというのだ。

広島で生まれた新しいスポーツ観戦の形とは、いったいどんなものなのか。

大画面とスマートフォンで試合を観戦

ライブビューイングが行われたのは、広島市にあるNTTドコモの5G技術検証施設「ドコモ5Gオープンラボ HIROSHIMA」。

会場を2つのゾーンに分割し、それぞれで異なる視聴方式を提供した。

1つは、大画面で高精細な映像を見ることができる「8Kワイド視聴」。98インチの大型ディスプレイを2枚使用し、正面から外野まで、グラウンド全体を投影した。

グラウンド全体を一望できる大型ディスプレイ
グラウンド全体を一望できる大型ディスプレイ

こちらのゾーンでは、バックネット裏に設置されたYAMAHAの立体音響マイク「ViReal」で収録したスタジアムの音声が、前方・後方の2か所に設置されたスピーカーから流れる。ライブビューイング会場でも、まるで球場にいるかのように前方の音は前から、後方の音は後ろから聞こえる、という仕組みだ。

打球の音、捕球の音のみならず、プレー中の選手の声やちょっとした談笑の声も聞こえてくる。15日の試合は新型コロナウイルス感染拡大の影響で無観客だったが、観客が入れば、応援の声も聞こえてくるという。

もう1つは、スタジアム内にいる地元放送局・中国放送の6人のカメラマンが撮影した映像を配信する「マルチアングル視聴」。複数の角度から撮影した映像を同時に配信するもので、視聴者一人一人が見たいアングルを選択して視聴できるだけでなく、他のアングルにタイムラグなく切り替えられる。

マルチアングル視聴のデバイスでは6アングルが同時に見られる
マルチアングル視聴のデバイスでは6アングルが同時に見られる

マルチアングル視聴の画面を映したディスプレイと広島県商工労働局・中井哲也さん
マルチアングル視聴の画面を映したディスプレイと広島県商工労働局・中井哲也さん

4社が得意・不得意を補い合って実現したプロジェクト

これらの視聴方式が、なぜ5Gによって可能になるのか。

NTTドコモ中国支社のICTビジネス推進担当・山根菜緒子さんはこう説明する。

「5Gの高速通信だからこそ、6台のカメラから映像を一斉に取得することや、会場内の音声を遠隔でも高速に取得することができます。
さらに、(低遅延・多数接続という5Gの特徴によって)配信側は高精細映像をリアルタイムで配信することができ、マルチアングルでは、多くの観客が同時多接続したとしても対応が可能です」
NTTドコモ中国支社・山根菜緒子さん
NTTドコモ中国支社・山根菜緒子さん

「ひろしまサンドボックス」では、今回の5Gのような、まだ実用化されていない最新のテクノロジーを活用したチャレンジを支援している。

カープ戦のライブビューイングは、NTTドコモの先進技術を活用して広島発ソリューションの創出を目指す「PITCH TRIAL」として行われた事業だ。

「PITCH TRIAL」のコンペティションには計6社が応募したが、その中で博報堂DYメディアパートナーズが提案したのが、5Gを利用して実際にスポーツ観戦に行かなくてもリアルに臨場感を感じられるサービスを構築しようとする「Neo Viewing事業」。

この提案の新規性や地域性などが評価され、最優秀賞として広島県からの支援対象として選定された。

実証実験では、NTTドコモと博報堂DYメディアパートナーズだけでなく、地元放送局である中国放送、優れた音響技術を有するヤマハの4社がコンソーシアムを組み、それぞれの得意分野で力を発揮することによって、5Gを使用したライブビューイングが実現した。

山根さんはコンソーシアムでは他社との合意形成に難しさを感じたとしつつ、

「(他社と共同でプロジェクトを行うことで)それぞれの得意不得意を補える。
近頃は求められるサービスのすべてを一社で賄えることは少ない。コンソーシアム型の開発ができることは大変ありがたい」

と述べた。

球場での観戦も変わるかも

山根さんによると、5Gを活用しての8Kワイド、マルチアングルの映像配信はまだ開発段階。8Kワイドとマルチアングルではタイムラグがあるため、実証実験では2つのゾーンに分けての体験となった。

このラグが解消されれば2つを同時に視聴することも可能になり、球場にいるかのような臨場感を味わいながらも、より細部の映像を手元も見ることができるようになる。

また、マルチアングル視聴が球場でも可能になれば、観戦の付加価値になる、と山根さん。中国放送・企画室デジタルコミュニケーション部の遠藤貴士さんも

「タブレットに関してはいままでに感じられなかったシームレスな動きで未来を感じました。実際に球場にこれがあると面白いスポーツ観戦ができると思う」

と感想を述べた。

マルチアングル視聴を楽しむ中国放送・遠藤貴士さん
マルチアングル視聴を楽しむ中国放送・遠藤貴士さん

当然、この技術を活用できるのは野球だけではない。他のスポーツや音楽ライブなどのエンターテイメントにも応用できる。

博報堂DYメディアパートナーズ・テクノロジーソリューション開発部の安島博之さんは、サッカーチーム・サンフレッチェ広島や、アイドルグループ・STU48への展開も視野に入れたいと今後の展望を語る。

さらに、スタジアムの雰囲気をライブビューイング会場で感じられるだけでなく、ライブビューイング会場での熱気をスタジアムにも伝えることも、今後できるようになるのではないか、と未来に思いを巡らせた。

広島からスタートした、新しいスポーツ観戦の形。

これからますます進化を遂げ、全く新しい体験を提供してくれるに違いない。

<企画編集:Jタウンネット>

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