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水滴に花を生けたみたい...! 桜の花にもぴったりな「ミニチュア一輪挿し」が可憐すぎる

横田 絢

横田 絢

2020.04.12 17:00
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新型コロナウイルスが猛威を振るうなかでも、外は春らしい雰囲気になってきた。

感染状況は日々変化し、なかなかゆったりとした気持ちになれないという人もいるかもしれないが、窓の外では色とりどりの花が咲いている。

春の風物詩、桜もいつも通りに美しい。今年は桜の木の下にみんなで集まってお花見するのは難しいかもしれないが、それでも薄いピンク色の花びらや、明るい緑の若い葉を見ると元気付けられるのは筆者だけではないだろう。

そんな桜を、家でも楽しめる一輪挿しがツイッターで注目を集めた。

テーブルの上に桜が咲いているみたい...!(写真はいつか@kotoritrickさんのツイートより)
テーブルの上に桜が咲いているみたい...!(写真はいつか@kotoritrickさんのツイートより)

こちらは、ツイッターユーザーのいつか(@kotoritrick)さんが2020年3月25日に投稿した写真。映っているのは桜の名所・平野神社(京都市)で購入したというガラス製の一輪挿しで、ちょうど桜を一輪だけ活けるのにぴったりの、指の先ほどの小ささだ。

まるでテーブルの上に桜の花が咲いているかのように見せるこの一輪挿しに、多くの人が魅了され、

「家の中に春がある」
「ちょっとした花見気分が味わえそう」
「花見できない分これで部屋で桜を愛でたい」

などの反応が寄せられていた。

売上の半分が神社に寄付される

この一輪挿しは、京都で自然物を使ったハンドメイド作品を制作しているhappaya_kyotoさん(インスタグラム:@happaya_kyoto)が作った「お花いけ」という名の花瓶。3月21日から4月12日の期間、平野神社の桜苑の前にブースを設けて販売されている。

取材に応じた平野神社の権禰宜によると、「お花いけ」の販売は平野神社復興のためのチャリティーの一環で、売り上げの半分が神社に寄付される。

平野神社は2018年の台風21号で、拝殿が倒壊するなど甚大な被害を受けた。神社は桜の名所であり、境内に約60種類400本の桜が植えられているのだが、台風のせいで桜の木も数十本が倒れてしまった。

現在は新しい桜の木を苗木から育てているが、庭を元の状態に戻すには莫大な費用がかかるそうだ。

そこで、若手の崇敬会(編注=特定の神社を応援する団体)である「平野神社櫻皇会」がチャリティーでの「お花いけ」の販売を企画したとのこと。

平野神社には早咲きから遅咲きまで、様々な種の桜が植えられているため、花を楽しめる期間が長い。お花いけには、その時に咲いている桜の花を一輪挿して販売しているという。

平野神社に咲いているソメイヨシノとベニシダレが生けられている(いつかさんのツイートより)
平野神社に咲いているソメイヨシノとベニシダレが生けられている(いつかさんのツイートより)

瓶は表面張力を利用して、水が溢れないように作られているそう。今回のチャリティーでは置き型のみの販売だが、天井から吊るす「お花いけ」も販売ブースでは展示されていたようだ。

つるすタイプも(いつかさんのツイートより)
つるすタイプも(いつかさんのツイートより)

Jタウンネット編集部は制作者の@happaya_kyotoさんにも電話で取材した。

@happaya_kyotoさんによると、「お花いけ」は通常、平野神社や上賀茂神社で定期的に開催される「手づくり市」(ハンドメイド作品や食品を販売する催し)と受注生産のみで販売しているもの。普段は1つ700円だが、今回は売り上げの半額を桜の保全のために神社に寄付するということで、1つ1000円で販売している(いずれも税込み)。

すでに咲いた花だけでなく、自宅で咲いていく様子を見たいという人のために蕾が生けられているものもあり、花は生けて1週間ほどは持つそうだ。

娘の笑顔のために生まれた「お花いけ」

まさに桜の花を活けるためにあるような小さな花瓶が、どのようにして生まれたのだろう。

1つ1つガラスを吹いて作る「お花いけ」は、すべてが異なる形。手作業のため、1日に作れる数にも限りがあり、チャリティーの期間中は少しずつ作っては、平野神社に持って行っているそうだ。

「量産品の分厚い、くすんでしまうガラスじゃなくて、水滴が机の上に乗っているとこにお花が刺さっているみたいな、ちょっと幻想的な雰囲気を出したかったんです。
今は神社さんのことで問い合わせが増えてえらいことにはなっているんですけど、平野神社さんを守っていくのに貢献させていただけるのはありがたいことといいますか、嬉しいことです」(@happaya_kyotoさん)

@happaya_kyotoさんが「お花いけ」を初めて制作したのは4年半ほど前。販売するためではなく、小さな娘のために作ったものだと話す。

「うちの娘が3才ぐらいの時から、野の草とか摘んで持って帰ってくるじゃないですか。お家に持って帰りたいって言うときに、いけておいてあげないと花も咲こうとしていたのが死んじゃったり、ぐちゃぐちゃになっちゃったりするので、お花が入って問題がないものということで作りました。
それを娘と仲のいい幼稚園のお友達とか、親御さんにも差し上げたりしていたら、他にも欲しいという方がいらしゃって、手づくり市でも販売するようにもなりました」

開口部分を小さくして、逆さまにしても水が溢れないようにしたのも、小さな子どもでも簡単に花を生けられるようにするため。最初は自分の娘を喜ばそうと思って作った「お花いけ」だが、今も購入する人に喜んでもらうために制作しているという。

「手づくり市でのうちのお客さんは90%以上が女性なんですけど、中には男性の方で、仏壇にお花をいけるのが難しいとかおっしゃっている方に需要があって。その方用にもうちょっとしっかりしたものというか、何輪か入れられるものを作ったりして。
やってる理由としては、皆さんすごく喜んでくれはるんですよ。人に笑顔をもたらすというのはすごくいいと思いまして、使命感を持ってやらせていただいています」

チャリティーでの販売が終わった12日からは、ツイッターやインスタグラムのDMを通じて一般販売も開始される。

@happaya_kyotoさんによると、受注販売では「こんな花を生けたいんや」という購入者の希望に合わせて「お花いけ」を制作している。これまでなかなかしっくりくる花瓶が見つからなかった、という人はお願いしてみると運命の出会いがあるかもしれない。

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