味噌×カレー×牛乳の絶妙ハーモニー 東北限定カップ麺「青森味噌カレーミルクラーメン」の魅力
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第十五回 「青森味噌カレーミルクラーメン」 文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。「ご当地カップ麺」を食べて紹介していく連載の第十五回目。今回は、青森県のご当地ラーメンを再現した、東北限定のカップ麺、東洋水産の「日本うまいもん 青森味噌カレーミルクラーメン」を食べていきます。
40年近く続く青森のご当地ラーメン
「日本うまいもん 青森味噌カレーミルクラーメン」は、東洋水産が東北限定で発売しているご当地カップ麺です。2008年に全国発売され、2010年に地元麺を全国に発信する「日本うまいもん」シリーズの商品としてリニューアル。現在は東北限定で発売されています。
スーパーで催される東北や青森の食品フェアで見かける商品なので、東北以外にお住まいでも見かけたことがある方は多いかもしれません。
味噌、牛乳、カレーを組み合わせた商品名の字面にインパクトがありすぎて、見方によってはただのイロモノにも見えかねない商品ですが、地元青森では有名なご当地麺です。
青森のご当地ラーメンと言えば煮干しラーメンが有名ですが、味噌カレー牛乳ラーメンも青森で40年近く愛され続けており、旅行ガイドなどでも多く紹介され、地元のみならず観光客にも人気です。
今回の商品は、味噌カレー牛乳ラーメンを供する5店が属する「青森味噌カレー牛乳ラーメン普及会」公認。普及会に属する5店はいずれも青森市内で営業する札幌味噌ラーメンのお店で、味噌カレー牛乳ラーメン発祥の「味の札幌」から暖簾分けされた、「味の札幌大西」を中心とする系列店となっています。
カレースパイスや牛乳が入っても味噌味が主役のスープ
スープは、表面に豚脂を浮かせたとんこつベースのみそ味で、生姜やガーリック、すりごまなどを効かせています。太いとんこつや豚脂が強いこってりスープで、基本的には札幌ラーメンの特徴を踏まえた味わい。その一方で、カレースパイスやバター、ミルクといった今回の一杯の特徴的な要素は、脇役に回っています。
カレー粉を入れてスパイスの香りをしっかり効かせていますが、あくまで脇役としての効かせ方で、主役の味噌味を食ってしまう強さではありません。味噌味を立てつつ、おとなしめにスパイスが主張しています。
また、粉乳を使った牛乳の甘みが、味噌味のスープにコクを加えています。味噌と牛乳の相性が抜群で、牛乳自体の味が幅を利かせているというより、味噌の味に深みを加えている印象を受けました。
お店のラーメンでは固形のバターが上にのっていて、2008年に最初に発売されたカップ麺でも固形のものが使われていましたが、今回の一杯では液体スープの中にバターが入っています。
ふわっと香るバターの風味も味噌味と好相性でした。味噌バターは札幌ラーメンでも鉄板の組み合わせですね。
カレーのスパイス感と牛乳の甘み、そしてバターの風味をしっかり効かせつつも、味噌ラーメンとしての範疇を出ない程度に留められていることが大きなポイントだと思います。商品名からはジャンキーなイロモノをどうしても想像してしまいますが、実際に食べてみるとれっきとした味噌ラーメンであることを強く感じることができます。
黄色みの強いノンフライ麺
黄色みの強い、ノンフライ縮れ麺が使われています。札幌ラーメンや「味の札幌大西」で使われている麺に比べると細めですが、札幌ラーメンの特徴である多加水でコシのある玉子麺の食感をよく再現できています。
東洋水産では、「彩未」など札幌ラーメンを再現した他のカップ麺でも使用されている麺で、他社から札幌ラーメンを再現したカップ麺が多く出回っている中でも、再現性はピカイチだと感じています。
トッピングに物足りなさも
具は、大きめのチャーシュー、メンマ、ねぎが入っています。今回の商品は、定価税別240円で高価格ですが、チャーシューは大きさこそ十分なものの、肉感には多少欠けるように感じました。また、お店でも使われているメンマやねぎも入っていますが、量はあまり多くありません。
そして、お店の味噌カレー牛乳ラーメンでは、もやしやわかめが大きな特徴なのに対し、カップ麺ではこれらが入っていません。特にもやしは札幌ラーメンの特徴でもあるため、入っていないのは物足りないところ。スープや麺が素晴らしいので、具の再現性がそれほど高くないのがいっそう気になりました。
スープに牛乳を投入してみた
今回のスープにはバターや粉乳が入っていてミルク感がありますが、パッケージには「お好みで、出来上がり後に『牛乳』を入れるとコクがUP」と書かれており、さらなる牛乳の追加が推奨されています。
今回は味に変化をつけるため、食べ終わる直前に牛乳を足して、どんな味になるのか試してみました。調理時にお湯より温度の低い牛乳を入れてしまうと、麺が戻らなくなるため注意が必要です。
スープの色が明らかに白っぽくなるレベルで牛乳を投入してみましたが、カレーの味は多少薄まった感がある一方で、味噌や豚骨、ガーリックなどの味噌ラーメンらしさはしっかり残り、牛乳でコクと甘みの増した味噌ラーメンを楽しめます。これはなかなか良い変化なのではないかと思います。
お湯で調理するのではなく、最初から温めた牛乳のみで作り、巷で流行った「ミルクシーフードヌードル」ならぬ「ミルク味噌カレー」なんてやってみるのも面白そう。
おみやげに喜ばれそうなカップ麺
基本的には札幌味噌ラーメンの特徴を踏まえつつ、カレーやバターの風味、そして牛乳の甘みで変化をつけたおいしい一杯です。カレーやバターなどが味噌味と戦うのではなく、引き立てているのが大きなポイントでしょう。
「青森味噌カレーミルクラーメン」という、いかにもジャンキーでB級感の漂う字面でありながら、食べてみるとしっかりおいしいので、自分で食べるのはもちろん、おみやげで人に贈るのもとても喜ばれそうです。
東北の方は店頭で、東北以外の方はスーパーの地域フェアやネット通販で手に入れられるので、ぜひとも食べていただきたい意外性のある一杯でした。