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道民のソウルフード「やきそば弁当」の魅力 ペヤング・UFOとの違い、比較してみると...

オサーン

オサーン

2019.06.09 12:00
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マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第六回 「マルちゃん やきそば弁当」 文・写真:オサーン

カップ麺ブロガーのオサーンです。「ご当地カップ麺」をテーマに、カップ麺を食べてレビューする連載の第六回目です。今回は、ご当地限定発売のカップ麺を取り上げてみたいと思います。

今回取り上げるのは、北海道限定で発売されている「マルちゃん やきそば弁当」。北海道のソウルフード「やきそば弁当」を、カップ焼そばの代名詞的存在である「ペヤングやきそば」や「日清焼そばUFO」と比較し、その魅力に迫ります。

左から「ペヤング」、「やきそば弁当」、「UFO」
左から「ペヤング」、「やきそば弁当」、「UFO」

「やきそば弁当」が支持されるのには理由がある

「やきそば弁当」は、1975年から続く東洋水産のカップ焼そばブランドで、北海道限定で発売されています。北海道ではカップ焼そばの圧倒的なシェアを誇る道民のソウルフードで、カップ焼そばといえば「やき弁」!というくらい、日々の生活に溶け込んでいます。北海道以外でも各種北海道フェアなどのイベントやアンテナショップ等の常連商品で、北海道土産としても人気。

商品バリエーションが豊富で、普通サイズの他に、麺量1.3倍の「大判やきそば弁当」、麺量2倍の「でっかいやきそば弁当」があり、味も普通味の他に「お好み味」や「旨塩」など計6種類がラインナップされています(2019年6月現在)。

「中華スープ」が最大の特徴

「やきそば弁当」に入っている中華スープ
「やきそば弁当」に入っている中華スープ

「やきそば弁当」の大きな特徴として、「中華スープ」の存在が挙げられます。

普通なら捨ててしまう麺を戻したお湯を、別添の「中華スープ」の粉末とともにマグカップに注ぐことで、ちょっとしたセット料理を楽しむことが可能となります。食事に汁物が欠かせない人にとっては大きな魅力でしょう。戻し湯を使用することで油揚げ麺の味が溶け出した独特な中華スープは、「やき弁」でしか味わえないもの。

「やき弁」の魅力が語られる際、この「中華スープ」について触れられることが多いですが、今回はカップ焼そば界の東の横綱「ペヤング」や西の横綱「UFO」と比較することで、焼そば自体の魅力にも触れていきたいと思います。

左が「ペヤング」で右が「UFO」
左が「ペヤング」で右が「UFO」

角のない丸い味のソース

「ペヤング」のソースは、ウスターソース丸出しの味に強い甘みを加えた、本物の焼そばにまったく寄せる気のない、カップ焼そばならではのジャンキーな味わい。一方で「UFO」は、豚と一緒に炒めたような旨みを効かせた本格的な味わいと、「濃い濃いソース」と銘打つ濃厚さが特徴です。

「やきそば弁当」
「やきそば弁当」

ある意味で好対照な東西横綱のカップ焼そばに対し「やきそば弁当」のソースは、「ペヤング」ほどのジャンキーさはないものの、「UFO」のような本格的な焼そばとも離れた味。やや「ペヤング」寄りのカップ焼そば的な味ですが、「ペヤング」よりもソースの角が立っておらず、丸い味なのが特徴かと思います。良くも悪くも中庸なソースと言えるかもしれません。

左から「ペヤング」、「やきそば弁当」、「UFO」の麺
左から「ペヤング」、「やきそば弁当」、「UFO」の麺

細めで縮れのついた油揚げ麺

続いては麺について。「ペヤング」の麺は、縮れのついた中細の油揚げ麺で、油で揚げた風味がとても強く出ています。コシがあまりなく、やわらかい食感も特徴。一方の「UFO」の麺は、ストレート形状で中太の油揚げ麺で、コシの強さや粘りがあり、ペヤングとは対照的に本格感を醸し出しています。

それに対し「やきそば弁当」の麺は最も細く、縮れのついた油揚げ麺です。「ペヤング」よりはコシがしっかりしていて伸びにくいですが、「UFO」のような本格食感があるわけではありません。ソースと同様に、「ペヤング」や「UFO」のような特徴はなく、両横綱の中間的な印象です。

左から「ペヤング」、「やきそば弁当」、「UFO」の具
左から「ペヤング」、「やきそば弁当」、「UFO」の具

ダイス状の鶏肉ミンチが入っている

「ペヤング」に入っている具は、チューブから捻り出したとしか形容ができない、円柱状の肉が入っています。実際の焼そばにはまったく寄せる気のない様子が窺えます。一方の「UFO」は、焼そばに使われる豚肉にしっかり寄せた食感で、ソース、麺のみならず、具でも本格感では群を抜いていました。

「やきそば弁当」には、ダイス状の鶏肉ミンチが入っています。なかなかの大粒で、チューブから捻り出したような「ペヤング」の肉に比べると肉感がありますが、「UFO」ほど本物の焼そばに寄せている印象は受けません。

左から「ペヤング」、「やきそば弁当」、「UFO」のふりかけ
左から「ペヤング」、「やきそば弁当」、「UFO」のふりかけ

具の他に、3商品ともにふりかけが入っています。「ペヤング」は、あおさ、紅生姜、粒ごまの組み合わせで、紅生姜が特に強く感じられます。また、スパイスも入っており、甘いソースの味や油揚げ麺の油の香りを引き締め、輪郭をハッキリさせています。実はこのスパイスこそが「ペヤング」の最大の特徴だと思っています。「UFO」にはあおさと紅生姜が入っていて、紅生姜の多さ、力強さが特徴。

「やきそば弁当」もあおさと紅生姜が入っていますが、他2つに比べると紅生姜が弱く、あおさの風味の方が目立っています。スパイスの強い「ペヤング」、紅生姜の強い「UFO」に比べると、ふりかけは地味でおとなしい印象でした。

「中華スープ」と合わせてこその一杯

本物の焼そばにまったく寄せる気のない独自の世界観を作り出す「ペヤング」、それに対し、本格志向の強い「UFO」という、それぞれに大きな特徴を見出だせた一方で、個性派の両横綱に比べると「やきそば弁当」にはそれほど大きな特徴がないようにも見えてしまいます。

しかし、敢えて主張しすぎないことで、「中華スープ」との食べ合わせに最適化されているように思います。「中華スープ」は塩気が強いので、焼そば側の主張が強いとどうしても食べ合わせが悪くなってしまいます。

今回、「中華スープ」を飲みながら3種のカップ焼そばを食べてみましたが、やはり「やきそば弁当」がいちばんしっくりくる組み合わせでした。「ペヤング」ほど甘くはなく、「UFO」ほど濃くないからこそ得られるスープとの絶妙なマッチングで、このマッチングの良さこそが「やきそば弁当」の大きな魅力なのではないでしょうか。

もちろん、魅力はそこだけじゃない!という異論はあるかと思います。

麺をつけ麺のつけ汁のように「中華スープ」に浸して食べる方法があるとのことで、実際に食べてみましたが、確かにおいしかったです。「中華スープ」によってソースに足りないエッジがしっかり立ち、「ペヤング」や「UFO」に負けない個性が感じられました。

北海道民が愛してやまない焼そばと中華スープの組み合わせを、全国の皆様も機会があればぜひお楽しみいただければと思います。

筆者:オサーン

カップ麺ブロガー。十数年前に出会った「日清麺職人」のおいしさに感激したことがきっかけでブログを開設。「カップ麺をひたすら食いまくるブログ」で毎週発売される新商品を食べて毎日レビューしています。豚骨スープとノンフライ麺の組み合わせがお気に入りですが、実はスープにごはんを入れて食べるのが最も至福の時です。 Twitter(@ossern)
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