スープ×麺×キャベツの「甘みの三重奏」 やみつきのおいしさ!鹿児島「五郎家」カップ麺
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第五回 「明星 五郎家 しょうゆ豚骨ラーメン」 文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。「ご当地カップ麺」をテーマに、カップ麺を食べてレビューする連載の第五回目です。今回は、日本各地のラーメン店の味を再現する「ローソン名店シリーズ」のカップ麺、「明星 五郎家 しょうゆ豚骨ラーメン」を食べていきます。
甘みの三重奏を奏でる五郎家のカップ麺
「五郎家(568)」は、鹿児島市にあるラーメン店。鹿児島の人気ラーメン店の多くは繁華街の天文館にあるのに対し、「五郎家」はそこから離れた郊外にお店を構えながらも、行列店として鹿児島ラーメンの一翼を担ってきました。
また「五郎家」は、地元テレビ局で番組にもなっているイベント「鹿児島ラーメン王決定戦」において、過去5大会のうち2度の優勝歴があり、人気と実力を兼ね備えたお店として広く知られています。
今回カップ麺で再現されているのは、お店の看板メニューである「おなじみラーメン」。キャベツのたくさん入った豚骨醤油ラーメンです。このラーメンがカップ麺で果たしてどう再現されているのでしょうか。
チャーシューだれのようなスープに揚げねぎの香ばしさ
まずはスープから。豚骨と鶏ガラがベースの醤油味のスープです。鹿児島ラーメンといえば、ラーメン博物館にも出店している「こむらさき」のような、半濁の豚骨スープをイメージしますが、今回のスープは濃い飴色で、豚骨ラーメンというよりは醤油ラーメンの感が強いです。
実際、鹿児島ラーメンといっても一括りにはできず、豚骨ラーメンの他にも様々な味を売りにするラーメン店が林立しているそうです。
醤油味のスープは甘みがあり、ベースとなっている鶏ガラと合わせ、まろやかな味に仕上がっています。甘みの中に肉の旨みが感じられ、スープ表面に浮く豚脂の風味も相まって、スープ全体がまるでチャーシューだれのような雰囲気を醸し出していました。
そしてもう一つ特徴的なのが、表面に浮く揚げねぎの存在。カップにお湯を入れた段階から揚げねぎの風味が強く漂っていましたが、これがチャーシューだれを思わせる甘いスープとベストマッチ!揚げねぎの香ばしさがスープを一段高みに乗せています。
甘みと香ばしさが織りなす余韻が後を引き、あと一口を何回も繰り返し、最終的にはついついスープを飲み干してしまいます。健康に気をつけている方にとってはちょっとキケンなスープかもしれませんね。
甘みのある麺がスープの味を底上げ
続いて麺。中細でやや縮れのついたノンフライ麺が使用されています。しっとりした食感で、上品な噛み応え。麺らしい甘みを強めに感じられます。太い麺ではないので主張は控えめですが、甘いスープに甘い麺の組み合わせで相性抜群。スープの甘みを底上げしています。
お店の麺は、今回の麺に比べるとひとまわり太く、形状もストレートなので、カップ麺とは多少の違いがあるようです。
札幌ラーメンなら黄色い中太の多加水縮れ麺、博多ラーメンなら極細の低加水ストレート麺といったように、ご当地ラーメンで使われる麺には大まかな共通項があるのに対し、鹿児島ラーメンはスープと同様に、太さも形状も各店で様々なのだそうです。
キャベツの甘みが効果的
具として入っているのは、1枚チャーシューとキャベツです。いずれもお店の「おなじみラーメン」に入っているものですが、お店では揚げねぎの他に普通のねぎも入っているのに対し、今回のカップ麺では入っていませんでした。
チャーシューはまずまずのサイズでしたが、お店のチャーシューはかなり大きくて厚みもあるため、比べてしまうとちょっと物足りない印象。今回の商品はカップ麺としては高額設定の定価税込258円なので、もうちょっとボリュームがあってくれると良かったです。
キャベツは多めに入っています。お店のラーメンでは茹でた刻みキャベツがたくさん入っているのが大きな特徴となっており、今回のカップ麺でもその特徴がしっかり活かされています。スープや麺の甘みにキャベツの甘さも融合することで、奥深い甘みが感じ取れました。派手ではないものの、じわじわくる甘さです。
好き嫌いなく愛されそうな一杯
鹿児島のラーメン店「五郎家(568)」の味を再現したカップ麺を食べてきました。まるでチャーシューだれのような甘みのある醤油味のスープに、ほのかに甘い麺、そして具のキャベツを重ねた甘みの三重奏は、あまり好き嫌い分かれることなく広く愛されそうな味でした。ただ甘いだけではなく、揚げねぎの香ばしさが甘さにアクセントを加え、飽きのこない味に仕上げているのも特徴的です。
甘みを前面に押し出した醤油味は、鹿児島ラーメンの老舗である「こむらさき」や「のぼる屋」などの豚骨ラーメンとはまったく異なる顔を持っており、鹿児島ラーメンのレンジの広さを感じさせるものでした。