睡眠中の人間は、タバコ臭にどう反応する? 「ニオイ気にしない」喫煙者で実験してみたら...
彼は目覚めるのか
このアイデアをS編集長に提案したところ呆れられたのは言うまでもないが、その後の流れは早かった。喫煙者で若手社員のIに、
「睡眠に関する調査をしたいんだ。ホテルのベッドで寝てくれないか」
とお願いした。オフィスに仮眠室はおろか室内で喫煙可能な場所がないため、実行するのであればホテルしかなかった。
何も知らない彼は2つ返事で了承した。騙されるとも知らずに。
ドッキリを行うのは人生で初めてだ。学生時代にサプライズで誕生日プレゼントを用意する相手もいない寂しい人間だったツケがここで回ってきた。
呆れていたS編集長も困っている筆者に手を差し伸べてくれた。都内の某ホテルを予約してくれたS編集長は、
「せっかくだから紙巻タバコだけじゃなくて、加熱式でも試してみないか」
と勧めてきた。
S編集長が手渡してきたのは、最近入手したというプルーム・テックの新商品。数ある加熱式タバコの中でも、とくにニオイが少ないとされている。これを使って、紙巻きとの反応の差も試してみようという趣向らしい。
そして迎えた決行当日。静かな一室に足を踏み入れた。Iには2時間前に部屋に入ってもらい、寝るように指示してある。
編集長自らがカメラを持ち、煙を吹きかける役を筆者が担った。物音を立てないように準備を進める。実験とだけ事前に告げているため、部屋は明るい状態を保ってもらった。
まさに手に汗握る状況だが、計画通りセッティングが完了。紙巻きより臭いが少なく、煙の代わりに蒸気が出るプルーム・テック・プラスを先に試した。ニオイの少なさがウリの加熱式タバコだ。
初めてのドッキリに悪い笑みが隠し切れない。しかし、タバコを吸いこんで吐いてみるとおかしなことが起きた。吸っていて味も感じているのに、煙がほとんど見えないのだ。
あまりに目覚めそうもないので躍起になって矢継ぎ早に吸っても効果なし。Iは微動だにしておらず、ここまで何もないと試す意味があったのかも疑わしい。正直、ドッキリ的には期待外れだ。