卓球×バスケで「バスピン」! 和歌山人が熱中する謎スポーツが楽しそう
何故、和歌山だけ?
バスピンは卓球台によく似たコートを使って行われる。サイズは卓球台の約4分の1で、大きな違いにバスケットと呼ばれる10センチの穴があること。
実際の競技でも卓球同様にリターンを返せなければ相手の1点だが、サーブではラケットを持たない拳に球を乗せて投げるように行う。また、バスケットの穴にノーバウンドで球を入れれば「ヒット」として2点が加わる。
1度以上のヒットを含む11点、または12点を先取したら勝ち。ヒットのない得点は10点でストップしてしまうが、得点すると相手の点数が減る。このケースでは、ヒットが出るか、相手の点数を0にしたら勝利する独特のルールが敷かれている。
1966年、「穴ねらいの卓球台」として和歌山市で産声を上げたレクリエーションスポーツ。85年ユニバーシアード神戸大会でも紹介。テレビ番組にも取り上げられ、卓球の福原愛さんがプレーしたこともあった。
和歌山県内では非常に盛んなスポーツで大会が行われるほどの盛り上がりぶりを見せている。競技の誕生から半世紀が経ち、親子2代でプレーすることもあるのだとか。
考案したのは作曲家の北原雄一さん(故人)。当時、和歌山県教育次長を務めており「親子で楽しめるものを」と考案された。日本バスケットピンポンの公式サイトを訪問すると、台について、
「広い場所を必要としないで、いつでも、どこでも、手軽に楽しめるスポーツ用具です。天板、脚ともに折畳式 収納時は場所を取りません」
とうたわれている。
手軽で和歌山県内での人気は抜群――しかし、県外に出ないのは何故なのか。2019年2月19日、Jタウンネット編集部は日本バスケットピンポンの北原友也代表取締役に取材を行った。
「全国的には行われているんです」
そう語る北原さんだが、筆者を含めJタウンネット編集部で知るものがいない。どういうことなのか。
「企業レクリエーションの種目として社内大会などでぽつぽつと」
北原さんによると大手電機メーカーや自動車メーカーなどの工場でレクリエーションとして使われているという。しかし、
「現実的にはそんなに知られていない」
という点は認めている。
「生涯スポーツ」として紹介している地域もある。東京で一般人が始めようと思っても現状やる場所がないとのこと。企業や自治体から広がっていけば東京でも気軽にできる日が来るかもしれない。
和歌山県内でも競技人口にばらつきがあり、
「紀北エリア、粉河町(編注:現在の紀の川市)それから和歌山市内でも経験者はいる」
とコメント。和歌山県内で最も盛んなのは田辺市で、競技ができた年から大会が行われている。
競技の魅力はあふれているものの、中々広からないバスピン。いつの日か卓球のように必定的にプレーする人が増えてほしいものだ。