茨城のパンクな奇祭「悪態祭り」 「バカヤロウ!」神社に飛び交う罵詈雑言
茨城県中部に位置する笠間市。人口約7万5000人で座頭の市の故郷とも言われている。そんなこの町で2018年12月16日、罵声を浴びせ合い、供え物を奪い合う「悪態まつり」が行われる。
旧暦11月14日に開催され悪口を言い合い、天狗に邪魔されながらお供え物を奪い合うとんでもない奇祭だ。
「馬鹿野郎」の大唱和
愛宕山山腹にある愛宕神社の北に位置する飯綱神社で行われるこの祭り。13人が白装束で天狗に扮し、16か所の祠を回るというのが悪態まつりの大筋の内容だ。しかし、奇祭と言われる所以はこの時に罵声を浴びせ合い、お供え物を奪い合うからだ。天狗に邪魔されながらも奪い取った人は幸せになれる――。パンクバンドのライブでも最近はこんなことはない。
散々悪態をついたら最後は「馬鹿野郎」の大唱和で終わる。最後まで悪口で統一するパンクなお祭りだ。
笠間市の公式サイトによると、
「おん霊や疫病を退治する悪退祭りや領主が住民の日頃の不平や不満を悪態の中から探ろうとした」
など様々な説があるようだ。コンプライアンスのうるさい時代に存続できるパワーにも感心せざるを得ない。
ただし、何でもありという訳ではなく、
「神官が拝み終わる前に供え物を奪い取ろうとする等の行為」
「個人的な名称・名前を出しての誹謗中傷」
は禁止されている。
Jタウンネット編集部は2018年12月14日、より詳しい話を聞くために笠間市の商工観光課の担当者に取材を行った。
かなり伝統ある祭りのようだが、いつから行われているのかを聞くと、
「江戸時代からです」
とのこと。比較的新しいようだ。
笠間市のサイトにある悪態まつりのページにある一文を発見した。「掟破り行為とみなされ天狗から青竹で阻止されケガをする場合がありますので注意してください」これは相当な覚悟が必要なのではないか。聞いてみると、祠へお供え物をするときに関係があり、
「祈祷が終わる前にお供え物を奪い取ろうとした場合、本当に軽く手を『ペン』と叩く程度です」
けがをすることはそうそうないという。
17年の開催では約1200人が訪れ、罵声を交わした。普段は静寂に包まれる神社もこの日に限っては、
「普段と全く違います」