日本中の「釣り初心者」に教えたい! 本気で凄いぞ「北九州釣りいこか倶楽部」【前編】
「釣り、やってみませんか?」。2018年10月某日、Jタウンネットの舵取りを新たに任されたばかりのS新編集長の元に、こんな提案が突然舞い込んだ。
今年で27歳になるが、恥ずかしながら釣りは人生で一度も経験がない。ネット上での「釣り」はプロ級だと自負しているが、現実世界では船に乗ったことすらない。海や魚とは縁遠い人生を送ってきたのだ。
なので「釣り、全くわからないんですが...」と正直に伝えると、社内の担当者から返ってきたのは、
「大丈夫です。だって、今回釣りをしてもらうのは、北九州ですから」
という自信たっぷりの言葉だった。
えっ、なんで北九州――?と少し面食らったが、詳しく聞いてみると、いま北九州市では、「北九州釣りいこか倶楽部」が提供する釣りの魅力を満喫するプランが人気なのだという。S編集長のような初心者でも安心なのだそうだ。
そんなこんなで、1人現地へと向かったS編集長。釣りも船も未経験かつ、実をいえば福岡の地を訪れたこともない。奇しくも「初めて尽くし」の旅になったのだが、取材の「釣果」ははたして...。
初めての福岡、初めての釣り
九州の玄関口・北九州市のJR小倉駅から車で10分ほど。電車を使っても、1駅となりのJR門司駅から歩いて5~6分程度で行ける港が、今回の出港地だ。とにかくアクセスが抜群で、S編集長のような旅行者には嬉しい。
今回、本来は全国的にも豊富な魚種に恵まれた海域で有名な響灘・玄界灘の沖釣りに挑戦する予定だったが、残念ながら時化がひどく船で沖まで行けず。だが、北九州ならば安心だ。仮に沖へと出られずとも、比較的天候の影響を受けづらい、近場の関門海峡で釣りを楽しむことができるというのだ。
沖釣りを楽しみにしていた同行者たちは、少しがっかりした様子だったが、そこは釣り未経験のS編集長。この時点では、関門海峡での釣りと沖釣りの違いがまったく分からず、頭にはハテナマークばかりが浮かんでいた。
そして出港。15分ほど船を走らせて、最初の釣り場に向かう。
ぶっちゃけ、船に乗り込んだ後も戸惑うばかりで、周囲のテンションについていくので必死だったのだが、ほどなくして考えが変わった。朝焼けの海をバックに、初めて目にする北九州市の街並みを、これまた初めて立つ船上から海越しに眺める。気付けば、だんだんと心が踊っていた。
いざ、釣り初挑戦!
北九州釣りいこか倶楽部では、遊漁船と一緒にフィッシングガイドを頼むことができる。S編集長のような全くの素人はもちろん、経験のない釣り方に挑戦する人でも安心だ。
ということで、ガイドのお兄さんにゼロから教えを請うことに。糸の落とし方からリールのハンドルの回し方まで、手取り足取り丁寧に教えてもらう。もちろん相手はプロということもあるが、こちらの突拍子もない質問にも、嫌な顔ひとつせず丁寧に答えてくれた。
使う餌は活きエビ。頭尻尾から針をグッと押し込み、胴体へ刺していく。右の写真のように、なるべく活きエビが真っ直ぐになるようにするのがコツだという。
基本的な指導を受けると、さっそく実践へ。見よう見まねではあるが、レンタルした釣竿を海面へ向け、リールのクラッチを押し、糸をたらしていく。S編集長、人生初の釣りの始まりである。
糸をたらし始めてわずか数分。なんと、早くも釣り竿がグググッ、と引っ張られるような感覚が。「これが魚のヒキか...」と余裕ぶっていると、周りからは「早くリールを巻いて!」と急かすような声。焦ってリールを巻いていくと――
釣れた。
しかも、タイである。
開始からたった数分。人生で初めての釣り体験にもかかわらず、さっそくタイを釣ってしまった。関門海峡でのタイがどういう扱いなのかは素人ゆえに分からないが、おそらく悪くない獲物なのだろう。周囲もどこか羨ましげだ。
ちょっと予想外のスピード感に、初めての釣果を喜ぶヒマもなかったほど。ただ、心の内ではどこか、
「これがビギナーズラックか」
と冷静な気持ちも。だが、それはまるっきり誤解だった。
「まるで釣り堀だ!」(個人の感想です)
その後も、この一帯でよく釣れるというアラカブ(カサゴ)を中心に、釣れに釣れて仕方がないのだ。ベテラン船長が良いポイントを案内してくれることもあってか、まさに入れ食い状態(素人の感覚だが)である。
同船した北九州釣りいこか倶楽部の事務局担当者に話を聞くと、今回の釣りは「根」といわれる海底の岩場にいる魚を狙うもの。アラカブがよく釣れるのはそのためだという。
もちろん、S編集長だけがよく釣れたわけではない。釣りに慣れた様子の同行者たちは、大物を続々とゲットしていた。個人的な感覚で恐縮だが、まるで釣り堀にいるようだと感じてしまった(注・もちろん、S編集長は釣り堀に行ったこともないので、あくまでイメージの話だ)。
ちなみに、この日一番の大物を釣り上げたのは、北九州市職員のI氏。立派で美しいタイが海から顔を見せると、船上の一同からは大きな歓声が上がった。
大物は悔しくもI氏に譲ったが、ハプニングの数では負けなかった。まずは釣りの途中、海鳥のフンが上着を直撃。この日のために新調したパーカーだっただけに、ショックはひとしおだった。
これでウンがついたと前を向くも、その後に釣れたのは思わぬ珍客。イカである。もちろん素人のため、早くリリースしようと釣り針を外すのに手間取っている間に、ズボンにべっとりとスミをかけられた。
ウンだけでなくスミもついたということで、これで原稿にもオチがついたら完璧なのだが...。
関門海峡、恐るべし
と、冗談はさておき、約5時間ちょっとの釣りで、S編集長が釣り上げたのはアラカブ14匹、タイ4匹、フグ2匹、イカ1匹の計21匹。サイズはともかく、数だけで見れば、休憩や移動、エサの準備などの時間を除けば、およそ10分に1匹のペースで釣れた計算になる。
流石に釣れすぎではないかと驚いたが、これでも普段よりはずいぶん少ない方なのだという。関門海峡、恐るべしだ。
というわけで、出港前はどことなく釣りに後ろ向きだったS編集長だが、気付けばすっかり夢中に。最初にスケジュールを見た際は「長すぎでは」と思った5時間も、あっという間に過ぎ去って行った。いや、釣りっていいものですね。本当に。
いま振り返ると、こう思えたのも関門海峡の豊富な魚、そしてガイドや船長、北九州釣りいこか倶楽部の担当者ら、同行者のあたたかいサポートや気配りのおかげだ。こうした皆さんのおかげで、初心者でも楽しく釣りを満喫できたのだ。
だが、実はまだこれで終わりではない。
なんと北九州釣りいこか倶楽部では、釣り上げた魚を、その日の内に近くのレストランで味わうことができる。これもセットプランで、全てお任せすることができるというのだ。マジかよ!(後編に続く)
<企画編集:Jタウンネット>