技術の有効活用! 「駅への道順」をプロジェクションマッピングで誘導
建物などの立体物に映像を投射して、幻想的な世界観を作り出す。昨今様々に活用されているプロジェクションマッピングだが、福岡県北九州市での取り組みがネット上で話題になっている。
きっかけとなったのはこんな投稿からだ。
今まで見た中で1番正しい使い方のプロジェクトマッピング pic.twitter.com/ifiTdk3aZq
— つかさ (@tsuka02hira) 2018年8月13日
投稿写真では、建物に「JR門司港駅」「通行制限中」などの表示が映し出されており、地下鉄の駅の方角が矢印で案内されている。
この投稿を受けて、「確かに設備投資も減らせて、自由に変更も出来る。かなり有効な活用だな」といった声も上がるほか、
「近未来感やばい」
「平時でもやってほしいですね。地下鉄の入り口とか、分からないことが多いので...」
「すごいねって話しながら目の前歩いてました」
という声が相次いでいる。
投稿者によると、この光景は、2018年8月13日に行われた「関門海峡花火大会」の際に、北九州市の門司港レトロ側で目撃されたものであるらしい。Jタウンネット編集部は、仕掛け人に話を聞いてみた。
情報伝達の一つの手段として
今回のプロジェクションマッピングは、「関門海峡花火大会 ガイドプロジェクション」という九州産業大学・ソーシャルデザイン学科専任講師の岩田敦之先生の取り組みだ。
Jタウンネット編集部が岩田先生に話を聞くと、多くの人が集まる花火大会などでの人流解析の研究を発端として始まったものだという。岩田先生ら研究者のチームで人流計測、Webサイトによる混雑情報の配信、プロジェクションマッピングの技術を活用した誘導案内を行っている。
2014年から始まった関門海峡での取り組み。今回SNS上で話題となったことを受けて、岩田先生は「正直驚いている」という。少しずつ形を変えながらも毎年実施していることから、地元民にとって「定番の仕掛け」になっているのではないかと分析した。
実際、JR門司港駅付近では毎年、混雑による重大事故を警戒しなければならない。新たな形の誘導案内は警察や警備会社からも高評価を得ているそうだ。
岩田先生によれば、夜にしかできない弱点はあるものの、「目をひきやすい」、「動画の使用が可能」、「状況に応じた表示内容の切り替えが可能」といった点が特徴だ。目的に応じた活用により、夜に多くの人が集まるスポーツイベントやライブ、お祭り、災害時などで有益な情報伝達が期待できるそうだ。
「プロジェクションマッピングは、アートやエンターテイメント分野での使用がほとんどで、関門花火大会のような手法はほぼ見られません。『プロジェクションマッピング=アート・エンターテイメント』というイメージにとらわれることなく、情報を伝達する一つの手段として捉えることが重要だと思います」
と、今後の活用について語ってくれた。