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「饅頭の天ぷら」どこまで根付いてる? 調べてみると、その原点は...

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2018.07.19 06:00
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衣をつけて油で揚げる、フライではないほうの揚げ物といえば「天ぷら」だ。大抵のものは油で揚げると食べられるという、カレーメソッド(カレー味にするとなんでも食べられる)にも似た問題解決能力を持つ天ぷら。野菜はほぼほぼすべて、天ぷらにできる気がする。

なんとツイッターでは、「バウムクーヘンの天ぷらを総菜屋で見た」と話題になっていた。さすがに天ぷら屋で、メニューの中にバウムクーヘンが載っているのを見たことはないが、お菓子を天ぷらにするという発想自体は、レアケースというわけではない。饅頭の天ぷらだ。

単なる変り種、ではないらしい

「揚げ饅頭」とか「天ぷら饅頭」と、呼び名はいろいろあるようだが、揚げ饅頭だといわゆる「かりんとう饅頭」のような、衣をつけずに油で揚げた饅頭と混同してしまいそうなので、今回は天ぷら饅頭と呼ぼう。

天ぷら饅頭の全国的な認知度を今回は探ってみたいが、広島出身の記者にはちょっとなじみがある。というのも、広島銘菓のもみじ饅頭を天ぷらにする、という食べ方がメーカーによって推奨されているし、宮島では串に刺さった状態で「揚げもみじ」という商品が販売されているのだ。

個人的にはちょっと変わったおやつの一種、といったところ(画像は紅葉堂の公式サイトより)
個人的にはちょっと変わったおやつの一種、といったところ(画像は紅葉堂の公式サイトより)

市内の天ぷらが食べられるお店も、メニューにもみじ饅頭の天ぷらがあったりするので、少なくとも「饅頭を天ぷらにするという食文化があるんだな」と、理解はしていた。

上京してからも、都内の天ぷら屋などで見かけることがあったので、勝手に全国的な食文化だと思い込んでいたのだが、改めて調べてみると、そうでもなさそうなのだ。

東を中心に各地に天ぷら饅頭文化が点在

まず、かなり広く天ぷら饅頭文化が根付いていると思われるのが、長野だ。JA長野県の公式サイトにある地域情報ページでは「『まんじゅうを天ぷら粉につけて油であげる風習』のある地域は、信州のほぼ全域」と断言しており、お盆には欠かせないものだとしている。

家で揚げるだけでなく、菓子店で作られたものもある模様(画像は戸田屋(長野県飯田市)の公式サイトより)
家で揚げるだけでなく、菓子店で作られたものもある模様(画像は戸田屋(長野県飯田市)の公式サイトより)

ネット上では「長野の郷土食」「長野の常識」といったフレーズでも紹介されており、相当メジャーな存在であることをうかがわせる。クックパッドにも「長野の天ぷら饅頭」としてレシピも上がっていた。

タネとなる饅頭には多少の差はあるようだが、基本的にこしあんのようで、天つゆにつけたり、塩をつけて食べることもあるとか。もみじ饅頭の天ぷらはあくまでもお菓子の食べ方のひとつ、といった趣があるが、長野の天ぷら饅頭はおやつ感覚というより、そういった食べ物として確固たる地位があるようだ。

その他、岐阜(飛騨地方)や島根(大田市)では紅白饅頭の天ぷらをお祝い事の席などで食べるようで、大田市ではわざわざ天ぷら用の饅頭を用意しているという。また、郷土料理としての天ぷら饅頭は福島(会津若松市)や滋賀(甲賀市水口町)などにもある。

中部~東北周辺となぜか島根に存在する天ぷら饅頭。地域的な共通点はなさそうだが、歴史を見てみると江戸時代に高遠藩(長野)、山形藩、会津藩の藩主を務めたのが会津松平家初代である保科正之。この保科正之以前に会津を治めていた加藤家は、吉永藩(島根)、水口藩(滋賀)と転封されており、前述の天ぷら饅頭圏がすべて含まれる。

あくまでも単なる歴史的な事実でしかないので、保科家や加藤家が、天ぷら饅頭が好きだったのかどうかはわかりようもないが、なにやら甘党の気配がする話ではないか。こうなると、現代の天ぷら饅頭文化圏も是非とも知りたい。Jタウンネットでは今後、読者からの情報をもとに、天ぷら饅頭(油で揚げただけの揚げ饅頭は除く)の全国分布状況を伝えていく予定だ。

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