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あなたはレア派? 全国の「生銘菓」を分類・調査してみた

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2018.06.09 20:00
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このところ八ツ橋が何かと話題になっているようだが、皆さんは「お土産に八ツ橋を買ってきたよ」と言われたら、どんなお菓子を想像するだろうか。「阿闍梨餅のほうが好きだ」みたいなお土産論争をしたいわけではない。

筝形(湾曲した長方形)の焼き菓子より、餡を入れ三角形に折り畳まれた「生八ツ橋」を思い浮かべる人が結構多いのではないだろうか。こうしたもともとあった銘菓が「生」化した、いわば「生銘菓(生菓子とは違う)」はよく耳にする。こうした「生食」になった銘菓、どんなものがあるのだろうか。例によってざっくりと調べてみた。

思った以上に生化が進んでいるぞ

生銘菓と言っても、この「生」の指す意味はいろいろあるようだ。まず、文字通りの「生」のもの。前述の生八ツ橋も蒸してはいるものの、本来は焼いていた八ツ橋を焼かずに食しているわけで、本当の意味で生食をしていると見なせるだろう。極端な話、焼けば通常版の銘菓に戻るタイプとも言える。「レア」タイプとしておこう。

もう一つは食感が生のような、柔らかいものやもっちりとしたものという意味の「生」だ。この場合は先に上げた生とは違い、焼いてあっても食感さえ柔らかければよいので、よく「生ではないな」などと野暮なツッコミが出るタイプだ。ここから「ミディアム」タイプとする。

最後は生クリームを使用している(挟んでいることが多い)という意味の「生」。ここ数年よく見かける「生どら焼き」などは、この「生(クリーム)どら焼き」というパターンだ。そのまま「クリーム」タイプとしよう。

ちなみに、今回の調査のテーマは銘菓なので、生どら焼きや生チョコレートなどの意味が広すぎるお菓子は拾っていない。

さて、まず取り上げたいのはにしき堂(広島県広島市)の「生もみじ」だ。名前からわかるとおり、もみじ饅頭が生化したものだが、生地を焼かずに食べるわけではなく、餅粉と米粉を使ったもっちりとした食感の饅頭になっている。

形はもみじというよりヒトデ感がなくもないが、うまいです(画像はにしき堂のサイトより)
形はもみじというよりヒトデ感がなくもないが、うまいです(画像はにしき堂のサイトより)

ただし単なる餡をくるんだ餅の塊ではなく(これでは大福になってしまう)、焼いてあるので「ミディアム」タイプだろう。記者(広島出身)が帰省土産としてもみじ饅頭ではワンパターンだなと感じたときは、アクセントに差し挟む用途に重宝する逸品だ。食感が嫌いでなければおすすめしたい。

続いては総本家田中屋(愛知県半田市)の「生せんべい」。生どら焼きとかと同じと言われそうだが、調べても愛知県半田市のものしか出てこないので、一般的なお菓子ではなく銘菓と見なした。「お土産に生の煎餅買ってきたよ」と伝えたときのインパクトはかなり大きいぞ。

「餅じゃない?」と突っ込んでしまうかもしれない(画像は総本家田中屋のサイトより)
「餅じゃない?」と突っ込んでしまうかもしれない(画像は総本家田中屋のサイトより)

メーカーのサイトによると、米粉や黒砂糖、蜂蜜を原料としており、もちもちとした食感が楽しめる半生菓子とのこと。焼けばそのまま煎餅になりそうだが、焼かずにそのまま食べるようだ。食感から分類すると「ミディアム」のようだが、「レア」の要素も兼ね備えている。

次にご紹介するのは、福菱(和歌山県白浜町)の「生かげろう」だ。「カゲロウはそもそも生きてるでしょ」ということではなく、紀州銘菓「かげろう」の生化だ。

ザ銘菓といった佇まいのかげろう(画像は福菱のサイトより)
ザ銘菓といった佇まいのかげろう(画像は福菱のサイトより)

かげろうは焼き菓子で、バタークリームを挟んだ、いわゆる「ブッセ」なのだが、このバタークリームを生クリームにしたものが生かげろうなのだ。日持ちがしないため福菱本店でしか味わうことができないという。銘菓系には珍しいようにも思われる「クリーム」タイプということになる。

次はちょっとややこしい生銘菓なのだが、マエダセイカ(福井県永平寺町)の「生羽二重餅」だ。福井銘菓の「羽二重餅」自体がそもそも餅菓子というか、半生菓子で十分生のイメージがあるのだが、メーカーの説明によると、羽二重餅をまるごとそのままお届けしているもの、とのこと。

見た目のインパクトがすごいし生感もすごい(画像はマエダセイカのサイトより)
見た目のインパクトがすごいし生感もすごい(画像はマエダセイカのサイトより)

本来は打ち粉を振って一口大の切り分けられている羽二重餅が、打ち粉もなく、切り分けられず、箱にみっちり詰まっている。確かにまるごとそのままだ。羽二重餅は焼くわけではないので、分類的には「ミディアム」タイプになると思われるが、生感の強さは相当高い。

調べていると、特定のお店の商品ではなく、広く地域に根付いた生銘菓もいくつかあった。

例えば秋田の「生もろこし」だ。「もろこし」とは小豆粉をベースにした落雁のような秋田の和菓子で、茶席で茶菓子として出されることもある一品。もろこしは型に入れて固めた後、焼き入れをするのが一般的だが、「生もろこし」はこの焼き入れを行っていない、「レア」タイプだ。

米粉ではなくわらび粉を使った外郎(ういろう)で山口銘菓の「山口外郎」も、作り立てで真空パックなどに保存されていない状態のものは、「生外郎」と呼ばれている。羽二重餅同様もともと生感があるが、この場合の「生」はフレッシュさを指しているのだろう。

生サブレや生タルトという概念があることも今回調査していて知ったのだが、本筋からそれてしまうので、触れるのはやめておこう。

「確かに生」というものから「やっぱ生じゃないでしょ」というものまで、さまざまな生銘菓があったが、これはほんの一端。生銘菓の分類からもわかるように、考え方次第で大半のお菓子が生化可能だ。読者の方々の身の回りには、どんな生銘菓があるだろうか。

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