ふるさと納税で「お墓」が永久無料!? 長野県小諸市に話を聞いてみた
「ふるさと納税」というと、その土地の特産物や、美味しい食べ物、伝統工芸品といったものが返礼品としてもらえるイメージがあるひとも多かろう。一部の自治体ではマグロ1本(静岡県焼津市)や、手掘りの仏像(鳥取県倉吉市)といった、独特の返礼品を用意している場合もある。
そんな自治体の1つが、長野県の小諸市だ。その内容は、なんと「公営墓地の埋葬権」だ。一体どんな経緯で返礼品の登録に至ったのだろうか。Jタウンネット編集部は2018年5月7日、小諸市役所企画課担当者に話を聞いた。

ふるさと納税ならではの「気持ちの寄付」が小諸市にはある
「小諸市では2016年度からふるさと納税に力を入れております。全国の人に対して何か発信できるものはないか、という話になり、職員でアイデアを募ったところ、市営の高峯聖地公園の案が出ました」(市担当者)
公営墓地の「市営高峯聖地公園」の合葬式墓地の永代使用権は、18年2月20日にふるさと納税の返礼品として登録。小諸市企画課の調査によれば全国初の取り組みだという。
施設の維持管理は市が行うため、管理料や清掃手数料なども不要。墓地の継承に悩むこともないといい、焼骨であれば宗派や宗教は問わない。
反響については、
「返礼品に登録してから2か月で20件を超えるお問い合わせをいただきまして、実際にお申込みに至ったのが3件ございました。今まではほとんどお問い合わせもありませんでしたので、かなり増えた感触はありますね」
という。
「現在、都市部では人口過密などから墓不足や墓じまいの問題があり、そういった社会問題に対して地方都市がアプローチできないかと考えました。また、ふるさと納税の返礼品として展開する前から、市外の人の入墓も受け入れておりまして、条例の改正などが必要なかったことも返礼品登録への追い風になりました」
と続ける。ふつう、市内に住所がある人の入墓のみを認めたりする自治体が多いという。
「市営高峯聖地公園」の合葬式墓地に入るとき、通常は1件につき7万円。ふるさと納税の返礼品については、総務省から納税額の3割以下に抑えるよう通達があるため、ふるさと納税の返礼品としてもらう場合には1件につき24万円が必要だ。
「所得の状況でどちらが節税となるのかは変わってきます。おおむね、1000万円以上の収入のある方はふるさと納税の税額控除を使っていただくのがお得になるケースが多いですね。もちろん、市としても両方の料金のご案内をしています」
と述べる。ただ、
「中には、『地域に貢献してからお墓に入りたい』という方もいらして、税制上不利にも関わらず、ふるさと納税で永代使用権を得られる方もおります」
と続け、
「これがふるさと納税本来の、気持ちの寄付、というところなのだと思いますね」
と語った。