ただのダジャレじゃない! 仙台生まれの「仙大豆」ブランドに込められた、深~い思い
「杜の都」である宮城県仙台市で有名なものというと、「ずんだ餅」や「牛たん」を挙げるひとが多いのではないか。
実は仙台市は「畑のお肉」の異名をとる大豆でも有名だ。「仙大豆(せんだいず)」という独自のブランドを擁するほどだ。なんだか気の利いた名前でもあるが、開発の経緯や命名の動機などを聞くと、誕生の理由は思いがけないものだった。
大豆は、宮城復興のシンボル
JA仙台営農経済推進部マーケティング課の担当者は、2018年4月9日のJタウンネット編集部の取材に対し、
「東日本大震災のあと、被災した農家の方々がまず栽培し始めたのが大豆だったんです。復興のシンボルとしてJAとしても後押ししたいと考えていました」
と、その経緯を語り始めた。仙台東部は、古来から大豆が多く収穫される地域だったという。ただ、東日本大震災で大豆生産者も含め多くの農家が被害に遭った。その後、大豆の生産を再開したことで、大豆は「復興の象徴」と化したのだという。
震災後、キリンビールが「キリン絆プロジェクト」という復興応援企画の中で資金助成をしており、そのなかに6次産業化(生産のみならず、加工や流通まで農家が一括で担う事業展開を行うこと)の取り組みがあった。それを生かしながら、「仙台=大豆」のイメージを作り上げたい狙いがあったという。
「また、宮城県は北海道に次ぎ全国第2位の大豆収穫量で知られます。ただ、その認知度が低いのが現状としてありまして、認知度を高めるべく、『仙台』と『大豆』をかけあわせたダジャレのようなブランド名を考えつき、2013年にブランド化しました」
と説明した。
評判については、「東京駅の店にも販売されるなどしたおかげでしょうか、仙台=大豆のイメージも以前よりだいぶ認識され始めた実感はあります」と手ごたえを語る。
JA仙台のオンラインショップでは、仙大豆を用いたチョコレートである「ソイチョコ」やクッキーの「ソイコロ」や、「ソイフロランタン」がある。ほかにも「ソイヨーグルト」、「ソイパスタ」などもあり、豊富な品ぞろえを誇る。この点について担当者は、
「価格や量では到底普通のメーカーには敵わないところがあります。そのため、JA仙台としては『ほかにない大豆商品』を開発していきたいと思っています。また、30~40代の女性を中心としてお土産の需要を掘り起こせればと思います」
と述べた。「『大豆でこんなものが作れるんだ!』という思いをたくさんの方に持っていただければと思います」と今後の展望も語った。