松山駅から駅弁がなくなる! 名物「醤油めし」の弁当店が事業停止に
愛媛県松山市内のJR松山駅から、駅弁がなくなることになり、ネット上で残念がる声が相次いでいる。
小さな弁当箱を開けると、鶏肉やレンコン、煮シイタケ、タケノコ、山菜などの具がぎっしり詰まっている。
その下に薄茶色く見えるのが、醤油味の炊き込みご飯だ。そして、隅に見える赤いサクランボが華を添えている。この弁当「醤油めし」は、松山駅の名物駅弁として、半世紀以上人々に親しまれてきた。
それがこの春から、食べられなくなる見通しになった。
コンビニとの競合激化などが原因とされる
帝国データバンクや東京商工リサーチによると、醤油めしを販売する愛媛県松前町内の鈴木弁当店が、2018年4月2日付で事業を停止したことが分かった。負債額は、約7000万円とみられている。
鈴木弁当店は、料亭を前身にして、明治時代の1910年に創業した。1960年に「醤油めし」を発売し、その後は、鯛めしや幕の内弁当なども手がけた。1991年12月期には、コンビニ大手との取り引きで約5億円の売り上げがあったが、取り引きを止めてからは、売り上げが低迷していたという。
松山駅の利用者が減少したことやコンビニとの競合が激しくなったことが原因とみられ、2017年12月期は、売り上げが約8000万円にまで低下していた。
醤油めし弁当店の事業停止が4月5日に新聞などで報じられると、ツイッター上などでは、名物駅弁が食べられなくなることは寂しいと惜しむ声が次々に上がった。
「素朴で美味しいお弁当」「もう食べられないのか...」
「素朴で美味しいお弁当だったんだけどなぁ」
「懐かしいな、醤油めし。出張帰りに買ってました。もう食べられないのか...」
「地方駅の個性が失われて都会の通勤電車と変わらない風景になってゆく」
「コンビニ弁当より割高だし時代の流れかな、残念」
鈴木弁当店は、松山駅のホームに弁当売り場を出して、醤油めしのほか、穴子ずしなどを販売していた。松山駅には、セブン‐イレブンのキオスクがあり、そこでコンビニ弁当は販売されている。しかし、いわゆる駅弁は扱っておらず、鈴木弁当店の閉店で、松山駅から駅弁が姿を消すことになる。
JR四国の広報室にJタウンネットが4月5日に話を聞くと、鈴木弁当店は数日前から営業していないといい、「急なことですので、売り場をどうするかなど今後の予定は立っていない状況です」と話した。
醤油めしの製造・販売の引き継ぎなどは、ありえるのだろうか。
鈴木弁当店の事後処理に当たっている菊池潤弁護士は5日、「事業停止の件については、守秘義務がありますので、お話しできないです」と取材に答えた。