鹿児島最後のジャズ喫茶「門」閉店...→地元のジャズ文化を残すべく、人々が立ち上がった!
2017年9月29日、鹿児島市にあるJR鹿児島中央駅近くの老舗ジャズ喫茶「門」が閉店した。1階にコーヒー店、2階にジャズ喫茶。1978年の開店以来、約40年にわたって営業を続けてきたが、地域の再開発で建物の取り壊しが決まり、閉店することになったという。鹿児島にもかつては多くのジャズ喫茶があったが、次々と姿を消し、「門」はまさに最後のジャズ喫茶だった。
この「門」のマスターが所有する、約4000枚の貴重なレコード、アルテック社の大型スピーカーなどの音響設備を譲り受け、鹿児島市内のコーヒーショップに移設して、「鹿児島のジャズ文化を残そう」というプロジェクトが立ち上がった。
Jタウンネット編集部は鹿児島に電話して、話を聞いてみることにした。
ビルの壁を壊して、クレーンでスピーカーを吊り出す
電話で答えてくれたのは、プロジェクトの代表者、坂口修一郎さんだった。
「どうすれば鹿児島のジャズ文化を残せるか、それをまず考えました。4000枚のアナログレコードも、サウンドシステムも、『門』のマスターの視点で集められ、まとまっているところに大きな意味があります。それがバラバラに散逸してしまえば、もう二度と取り戻すことはできません」と坂口さん。
そこで『門』から譲り受けたレコードと音響設備を、鹿児島市山下町にあるコーヒーショップ「コーヒーイノベート」に移設することにした。「『門』のマスターへのリスペクトを込めて、まるごとお借りするという感覚です」。
「アルテック社のスピーカー『The Voice of the Theatre 828C』は、そのままでは階段を下ろすことができません。ビルの壁を壊した後、クレーンで吊り出さなければなりません。また『LUXMAN MQ70』『LUXMAN CL40』といった2つの真空管アンプを含むサウンドシステムも、新しい環境に合わせて、ゼロからチューニングしなおす必要があります」
移設先の「コーヒーイノベート」は、鹿児島市役所近くのビル1階にある。広さは「門」の4倍ほど。スピーカーもアンプも設置した後の調整が必要となる。「それはそれで楽しみですね」と坂口さんは語る。
デジタル配信が主流となってきた音楽の世界だが、近頃アナログレコード人気が復活しつつある。若者の間ではアナログレコードが格好良いというイメージも広がっているという。
坂口さんは音楽好きの仲間と一緒に、インターネットで資金を募るクラウドファンディングを始めた。MotionGalleryウェブサイトで募集する「鹿児島市内最期のジャズ喫茶『門』の貴重なアナログレコード・コレクションとサウンドシステムを残したい!」というプロジェクトだ。10月11日現在、160人以上の支援者が集まっている。
クラウドファンディングの支援者には、支援金の額に応じて、さまざまなリターンが用意されている。もっとも人気のリターンは何かを聞いてみた。
「60年代?80年代にジャズをテーマに鹿児島で発行されていた『MODERN PALS』というフリーマガジン(同人誌)があります。『鹿児島モダンジャズの会』が編集していたものです。デビュー直後の村上春樹氏も寄稿していたといいます。この雑誌を復刊し、限定でお渡しする企画です」
他に、レコード版ボトルキープ。自分のお気に入りのレコード1枚にネームカードを付けてくれる。あくまでも音楽をシェアするという活動の一環で、他のお客さんからのリクエストがあった場合は店内で流す。
また、移設後メンテナンスが終わったら、オープニング試聴会を開催予定。試聴会への招待状も、支援金額によっては届くという。詳しくは、MotionGalleryウェブサイトをご参照のこと。