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皇居に、アポなしで遊びに行ってみた!

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2016.07.02 11:00
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一般参賀のニュースでおなじみの皇居宮殿東庭
一般参賀のニュースでおなじみの皇居宮殿東庭

「皇居」。

東京の真ん中にあり、馴染みがあるようで、馴染みのない場所。めったなことではそこに足を踏み入れることなどできない、そう思ってきた。

ところが。

これまで事前申請が必要だった「皇居一般参観」が、2016年6月25日より当日受付もOKになったのである。それも期間限定のイベントではなく、基本的に通年参観できるらしいのである。そんなことは知らなかった。それでは思い立ったが吉日ということで、早速行ってみることにした。

整理券確保が第1のミッション

整理券配布開始10分前の行列具合。年配層と外国人が9割を占めていた
整理券配布開始10分前の行列具合。年配層と外国人が9割を占めていた

一般参観は午前の部と午後の部があり、それぞれ事前申し込み200名、当日受付300名の計500名が参観できる。事前申請より当日受付のほうが受付人数が多いのは驚いたが、屋外を散策する形の参観のため、当日の天候によって予定を決められる枠が多いのはうれしい。

この看板が混乱を招くことに
この看板が混乱を招くことに

今回は午後の部参加を目指し、整理券配布場所である皇居桔梗門を目指す。東京駅を背に行幸通りを一直線に桔梗門へ到着すると、「今回の参観は満員です」の文字がっ!!! この時、配布開始時間である12時の10分前。この段階で終了してしまうほど、人気コンテンツだったのか! 茫然としていたところ、目の前の行列はどう見ても300人はいない。とりあえず来てしまったことだし、並ぶだけ並んでみようと行列に並ぶことにした。

10分ほどして、正午から整理券の配布がスタートした。なんだ、終了してないやん!行列に並んだ誰もが口には出さねど不審そうな顔をしていたら、そのうち宮内庁スタッフが「今回の参観は満員です」の看板を外し始めた。どうやら午前の部の「整理券終了」のお知らせのまま放置状態だったらしい。しっかり頼むよ、宮内庁...。

86番目の整理券でした!
86番目の整理券でした!

ボディチェックはありませんでした
ボディチェックはありませんでした

そうこうしているうちに無事整理券をゲット。整理券番号86番。全然余裕やん......。整理券によると、13時にこの場所に戻ってきて入場という流れらしい。なになに、"小型無人機の携行"や"他の人へけん悪の情を催させ"る人は参観できないと......。ドローンの事件とかあったし、ま、当然のことでしょう。ひとつ気になったのは、"説明は日本語のみ"という一文。見たところ、この行列の6割強が外国人観光客なのだが、大丈夫なのだろうか?

13時までの1時間弱、ランチするにはピーク時間で難しそうだしどうしようかと思い、近くの和田倉噴水公園で時間を潰すことに。見ると、行列に並んでいた外国人も同じように時間を潰している。だが、彼らは事前にコンビニで買ってきたのであろうおにぎりやサンドウィッチをパクついているではないか! 事前準備にぬかりのない彼らに対して無意味な敗北感を感じながら時が来るのを待った。

集合時間には、先ほどとは比べようもないほど長蛇の列に
集合時間には、先ほどとは比べようもないほど長蛇の列に

指定の時間になり再び桔梗門に到着すると、先ほどとは比べものにならないくらいの列ができていた。再び「本日の整理券終了」の看板が掲げられ、この時間に来た参観希望者たちが玉砕して帰っていく。ここで身分証明証のチェックが行われるのだが、「整理券番号299番でギリギリ間に合った!」と喜んでいた筆者の前に並んでいた年配のご婦人は身分証明証の用意がなかったらしく、ここでアウトに。「私、これくらいしかないんだけど、これじゃダメなの!?」と病院の診察券を皇宮警察に提示していたが、さすがに入れてもらえず、背中に哀愁を漂わせて帰途についていた。

御濠を越えて、いざ皇居内へ
御濠を越えて、いざ皇居内へ

御濠越しの丸の内高層ビル群というのも、なかなかの光景
御濠越しの丸の内高層ビル群というのも、なかなかの光景

はじめの一歩は桔梗門から
はじめの一歩は桔梗門から

いよいよ入場だ。人生で初めて御濠を越え、桔梗門をくぐり、荷物チェックを受け、まずは今回参加の500名が窓明館なるホールに一堂に集められる。ここで、参観申込書に氏名、住所などを記入し提出。外国人用に音声ガイドの貸し出しもあり、一安心。パンフレットは、日本語、英語、中国語、韓国語に対応していた。

パンフレットで参観コースを勉強
パンフレットで参観コースを勉強

参観申込書はちゃんとチェックしているらしい
参観申込書はちゃんとチェックしているらしい

皇居限定ということで買ってみた「菊紋カステラ」¥1000。プレーンと黒糖がそれぞれ5切れずつ入っている。なぜか鹿児島県霧島市のお菓子処の製造
皇居限定ということで買ってみた「菊紋カステラ」¥1000。プレーンと黒糖がそれぞれ5切れずつ入っている。なぜか鹿児島県霧島市のお菓子処の製造

公衆電話、しかもグリーンの古いタイプも健在。なんかうれしい
公衆電話、しかもグリーンの古いタイプも健在。なんかうれしい

窓明館では、参観コースの説明ビデオを見ながら30~40分ほど待機。参観者は自販機でジュースを買ったりトイレを済ましたりし、思い思いに過ごす。ここでのお楽しみは売店見学だ。菊紋入りのネクタイや風呂敷、菊紋サブレに天皇皇后両陛下のDVDなどいろいろなお土産が売られていて大盛況だった。皇太子殿下御一家の一筆箋セットというものがあり、愛子内親王のものもあるということで心魅かれたが、結局皇居限定という菊紋カステラを購入してみた。

この待ち時間に、先ほど記入した参観申込書のチェックが行われていたらしく、すべての確認が取れたということで、5分押しくらいで、いざ出発に。

一般参賀でお馴染みの長和殿に違和感

500人がずらずらと連なって参観
500人がずらずらと連なって参観

参観コースは2.2キロ、約1時間の行程だ。小グループに分かれるのではなく、500人がぞろぞろと一緒に行動する。2.2キロの道のりは坂道も多々あるので、車いすや手押し車などは貸してくれるそうだ。先導のスタッフの解説は、拡声器で思ったよりも聞き取りやすく、列の中ほど、最後尾にもスタッフが同行するので、質問があればその都度聞くことができる。解説や注意事項も、大事なところは英語でも説明しており、勝手に安堵した。

元枢密院庁舎
元枢密院庁舎

富士見櫓
富士見櫓

ビルをバックにした富士見櫓。今でも富士山は見えるのだろうか?
ビルをバックにした富士見櫓。今でも富士山は見えるのだろうか?

外観がイカした元枢密院庁舎を横目に、まず目指すは富士見櫓。ここが外国人には大人気だった。確かに、日本人にとっては二重橋だ、宮殿東庭だと言われればおおっと思うかもしれないが、外国人にとってはビジュアル的にも「城」感のある櫓が興味深いのであろう。自撮り祭りが開催される。丸の内のビル群を背景に持つ富士見櫓を撮影する旅行者が多かった。

宮内庁はさすがに皇居の中にあるのだなと改めて思った。お役所にしては想像よりも小さい
宮内庁はさすがに皇居の中にあるのだなと改めて思った。お役所にしては想像よりも小さい

こんなものも...。馬もいるのだろうか...
こんなものも...。馬もいるのだろうか...


こんなとこにあったのか!と初めて知った宮内庁庁舎を過ぎ、テレビニュースでもおなじみの宮殿へ。ちょうど宮殿東庭に差し掛かった時、北車寄せに黒塗りの車が到着し、どなたかが宮殿から出てこられた。この瞬間の参観者のおばさまたちの動きは素早かった!「奥さん、誰か来るわよ。誰かしら、誰かしら」とカメラを構える。「誰?」「誰?」「知らない人だわ~」と言いつつシャッターを切るその姿は、パパラッチも顔負け。結局、どなたかはわからなかったものの、テレビで見たような似た光景を見ることができ、おばさまたちの顔には満足の文字が浮かんでいた。

はたして、あの方はどなただったのであろう......
はたして、あの方はどなただったのであろう......

覗き見える玄関のシャンデリアが豪華!
覗き見える玄関のシャンデリアが豪華!

一般参賀では2万人がこのスペースに。画像よりも実際に見ると、バルコニーは本当に低く感じる
一般参賀では2万人がこのスペースに。画像よりも実際に見ると、バルコニーは本当に低く感じる

この白いタイルのところが、一般参賀の先頭の立ち位置。これは近い
この白いタイルのところが、一般参賀の先頭の立ち位置。これは近い

160メートルもの長さを誇る宮殿の長和殿。お正月や天皇誕生日の一般参賀でおなじみの建物だが、どこか違和感が。そう、皇族の皆様がお立ちになるバルコニーがやけに低いのだ。テレビで見ると3~4階くらいの高さから日の丸が振られる広場に向けてご挨拶されているような印象だったが、解説スタッフによると、バルコニーまでの高さは4メートルほどらしい。また、一般参賀の最前列とバルコニーとの距離も、「え?こんなに近くていいの?大丈夫なの?」と思ってしまうほど近い。これにもびっくりである。一般参賀時には、茶色い枠も設営されるそうだが、実際の景色とテレビでの印象、こんなに違うものかと驚いた。

正門石橋を二重橋だと思っていました......
正門石橋を二重橋だと思っていました......

さらに歩を進めると、正門鉄橋(二重橋)へ。筆者はこれまで大きな勘違いをしていた。あの皇居前広場からよく見る眼鏡橋が二重橋だと思っていたのである。今回、本物の二重橋を渡り、眼下に眼鏡橋を見つけて、やっと勘違いに気付いた次第だ。お恥ずかしい。ちなみに眼鏡橋のほうは、正門石橋というらしい。

伏見櫓
伏見櫓

正門鉄橋(二重橋)は人気撮影スポット
正門鉄橋(二重橋)は人気撮影スポット

周囲の年配層からは「二重橋を渡れるなんて感激だわ!」「修学旅行で、ここをバックに写真を撮ったよな~」という声も聞こえ、ある年齢層から上にとって二重橋という橋への思い入れは強いようである。それもあってか、この正真正銘の二重橋、正門鉄橋では欄干そばの歩道へ上がることは禁止されているのだが、記念写真を撮る年配客で大混雑。右の歩道で「歩道に上がらないでください」と注意を受けるグループがあれば左の歩道で撮影会が始まり、左の歩道グループが注意され始めると、スタッフの目が逸れた右の歩道で撮影が始まるというイタチごっこが繰り広げられていた。

遠くに、「大きなタマネギ」も見えました
遠くに、「大きなタマネギ」も見えました

まだ咲いていない御濠の蓮を最後に見て、1時間の参観は終了。周りを見ると、みな非日常の散策を楽しんだ様子であった。外国人参加者も楽しんだようで、ここでも勝手に意味なくひと安心してみた。

広い皇居内を、職員さんは自転車で移動
広い皇居内を、職員さんは自転車で移動

実際に皇居の中に足を踏み入れてみると、長和殿のバルコニーのように実際に見てみるとイメージが違ったり、二重橋の勘違いがわかったり、緑も多くなかなか楽しい参観であった。なんといっても、これがタダ、無料で参加できちゃうのだ。バッキンガムだってヴェルサイユだって有料なのに。建物内の見学はないという違いはあっても、無料なのは大きい。外国人だけではなく、日本人にもおすすめな散策コースであることは間違いない。一度行ってみる価値は大いにあるとオススメしておこう。

皇居一般参観は、火曜~土曜毎日2回開催(時期によって変更あり。7月21日~8月31日は午後の回はなし)。それぞれ8時30分、12時に整理券の配布が始まる。詳しくは宮内庁ホームページで。

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