増える「アニメで町おこし」に応えて...異色の特化型制作会社「自治体アニメ株式会社」に聞く
予算を抑えて使いやすい料金に
「婚活スイッチ」は、東京から群馬へ引っ越してきた主人公が婚活を始め、様々なアドバイスを通じながら結婚相手を探す、というストーリーだ。主人公に対して世話人が、男性に求める条件を緩めるように、と諭すなど、リアリティのある内容で話題になっている。
それを製作した自治体アニメ株式会社は、フリーランスのアニメ作家だった石川さんによって2015年9月に設立された。石川さんは、柳田國男の「遠野物語」を語り継ぐ少女をテーマにした岩手県遠野市のPRアニメ「語りべ少女ほのか」や、新潟県三条市の金属製品メーカー、マルダイのPRアニメ「すのこタン。PVアニメ」などを会社設立前に製作している。
会社設立のきっかけについて、
「個人でアニメ作家をやっているときに、地方の自治体からも依頼を頂くことがありました。それならそういった依頼に特化した会社を作ってみよう、ということで始めました」
と語った。
また、少人数で製作することで、低い予算でも十分な内容の動画を作ることが出来ると語った。
「現在、社員は私1人ですが、共同製作者が他に4名ほどいます。納期に合わせて内容を考えたりして、とにかく完成させることを意識しています。群馬県の婚活PRの動画は取材や打ち合わせに2か月、製作に2か月から3か月ほど費やして製作しました」
公式サイトによると、一般的なアニメの製作費は1話(22分)でおよそ1500万円。しかし、自治体アニメ株式会社なら1分あたり40万円、22分で880万円ほどの費用で製作できるという。依頼主の要望の聞き取りから作画、納品までを一貫してこなすことで、費用を抑えている。
社名に「自治体」と掲げてはいるが、利用できる層は多様だ。
「もちろん、自治体以外の方も利用できます。例えば企業や個人でも、限られた予算内でアニメーションを作りたい、という方全般に向けています」