富山市立図書館が、CDやDVDの貸し出しをストップする理由を聞いてみた
「TOYAMAキラリ」という施設をご存じだろうか。富山市の中心部、西町にある地上10階、地下1階の建物で、建築家・隈研吾氏の設計により2015年8月にオープンした複合施設である。
隈研吾氏といえば、新国立競技場のデザインを手がけることでも知られ、いまもっとも注目を集める建築家だ。隈氏が設計を担当した「TOYAMAキラリ」の外壁は、ガラスとアルミ、御影石など異なる素材を格子状に組み合わせた斬新なもので、立山連峰の峰々を表現している。内装は富山県産の木材の羽板をふんだんに使用した、螺旋のような吹き抜けが特徴だ。
この「TOYAMAキラリ」の3階、4階、5階を占めるのが、富山市立図書館本館だ。同図書館から2016年4月15日に発信されたお知らせが、注目を集めている。それは「視聴覚資料貸出サービス終了のお知らせ」だ。いったいこれはどういうことなのだろう。Jタウンネット編集部は早速電話で聞いてみることにした。
「公共の図書館としての一定の使命は果たした」
電話に出てくれたのは、読書推進係の担当者だ。
「今まで行っていた視聴覚資料貸出のサービスは5月末日で終了し、6月1日からは館内で視聴していただくことになります」とのこと。その理由について尋ねてみると、こう答えてくれた。
「まずCDやDVDの管理のためには、ICタグのシール貼付が必要だったのですが、シールが劣化すると、家庭の再生機器から取り出せなくなるといったトラブルがありました。再生機内でシールが粘着するおそれもあります」と担当者は説明してくれた。「CDやDVDが破損して、聴けなくなるという苦情もありました」とのこと。
もう一つの理由は、インターネット環境の変化だという。「ネットをとおして受けられる比較的安価なサービスが整ってきたことが挙げられます。とくに若い層にそういったサービスを利用する人が増えてきたようです」と担当者。CD・DVDの貸出数も減少の傾向にあるとのこと。「公共の図書館としての一定の使命は果たしたと考えています」。
また「図書館での貸出サービスが民業圧迫になる懸念もあります」という話もあったので、「具体的に民間からそういった話があったのですか?」と聞いてみたが、「いえ、そういった話はとくに聞いておりません」とのこと。大手業者からの要望があったわけではないらしい。
なお館内視聴ができる場所、利用案内については、同図書館公式ページをご参照のこと。