ココからあなたの
都道府県を選択!
全国
猛者
自販機
家族
グルメ
あの時はありがとう
旅先いい話

25歳で酪農家へ転身...新規就農「チャンスがある」と体験者が語る理由

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2016.03.15 12:00
0

地域サポートも充実 目指すは「6次産業化」

酪農への就農と聞くと、多額の設備投資、乳牛の飼養管理や経営の知識の入手方法、実際に牧場を経営して儲けが出るかどうかなど、不安は多い。また、年中無休で働かなくてはならないイメージが強く、ハードルは高い。

しかし、近年、梶本さんが就農した岩手県八幡平地域では、酪農家を地域で支えようと様々な取り組みがなされている。農協や農業改良普及センター、地域の他の酪農家などのサポートにより、安定した経営を維持しており、様々なことにチャレンジできる時間も持てるという。他にも、「TMRセンター」という、牧草などの粗飼料とトウモロコシなどの濃厚飼料を適切な割合で混合し調整した牛の飼料(=TMR)を供給する組織から飼料を購入することで、畑で自ら飼料作りをする時間を有効に使うことができるし、「酪農ヘルパー」を利用することで、月に数日、休みを取ることも可能だ。梶本さんが「チャンス」と語る背景には、そうしたサポート体制がある。

そういった地域のサポート状況や梶本さんへのインタビューは、(一社)中央酪農会議が2015年秋に発行した「JDCニュースレターvol.6」に掲載されている。

その中で、梶本さんは農業大学校卒業後に母校の実習助手や酪農ヘルパーとして他の酪農家を助ける仕事をし、経験と知識を身につけたと語った。その後25歳の時に、地域の農協などの助けも借りて廃業した酪農家の牛舎を買い取り、酪農家としてスタートしたそうだ。

また、酪農について、

「生産コストは高止まりしているものの収入は安定しています」

と強みを語り、

「でも、その収入に甘えると、経営感覚が鈍ってきます」

と注意点についても言及した。搾った牛乳(生乳)は農協が買い上げるため、月々安定して収入を得られる。

また、酪農家として経営を維持していくためには、経営の多角化、6次産業化をすることも選択肢のひとつだという。実際に梶本さんも、自身の牧場の牛乳を使ってアイスクリームやジェラートなどを作っている。

town20160314111625.jpg

「生乳を搾っているだけの時とは、収入は違うと思います。ジェラートやアイスクリームの収入があれば、エサの購入費や酪農ヘルパー利用料金など、外部の組織に委託している部分の費用をまかなうことができますし、その上できちんと利益を出すこともできます。新規就農するには、地域のサポートが不可欠ですが、そうした状況をうまく使えば、酪農をやって良かったと絶対に思うはずです」

TPPにより安価な輸入品が増えることで、国内の農林水産業が打撃を受けることが予想される。しかし、2016年2月に行われたネオマーケティングの調査によると、TPP支持率が7割近い反面、食材に関しては国産を求める声が集まった。食材ごとに国産・外国産どちらを買いたいかという設問では、牛乳が穀類を抑えて最も多く、94.3%が「国産を買いたい」と回答。現在牛乳は国産100%であることにも82.9%の人が「意義がある」と回答した。

多くの人が牛乳をはじめとした安全・安心な国産食材を求めている。酪農への新規参入はハードルが高いかもしれないが、地域ぐるみで酪農家を支える動きが始まっている今、酪農にチャレンジしてみるのも、魅力的な進路の1つなのかもしれない。

PAGETOP