[ドデスカ!-名古屋テレビ]2016年3月2日放送の「全力リサーチ」のコーナーで愛知県のご当地ひな菓子を紹介していました。 二大ひな菓子は「おこしもの」と「いがまんじゅう」 名古屋でひな菓子といえば、「おこしもの」。 「おこしもの」は名古屋を中心とした尾張地方の伝統的なひな菓子で、練った米粉を木型からおこして作るためその名がついたようです。 おこしもの(Nobu SUZUKIさん撮影、Wikimedia Commonsより) 毎年ひな祭り前には、いたるところで「おこしもの」作りの体験教室が行われるなど、名古屋ではメジャーなひな菓子です。 しかし岡崎で聞き込みをしてみると、ひな菓子は「いがまんじゅう」だと答えます。 岡崎では「おこしもの」は知られていません。それどころか「いがまんじゅう」を全国共通だと思っている人も。 それもそのはず、岡崎市立の小学校では毎年給食にも登場するのです。 尾張の「おこしもの」と西三河の「いがまんじゅう」が、愛知県の二大ひな菓子と思いきや、同じ三河でも奥三河では全く違うひな菓子があるようです。 同じ豊田市でも違うひな菓子 豊田市稲武周辺では、道の駅でも売られているというご当地ひな菓子。 これを作っているという大野瀬農産物加工所に伺ってみると「からすみ」を作っているといいます。 からすみとはボラの卵巣を塩漬けした珍味ですが、愛知県の中でも特に山深いこちらで、なぜからすみなのでしょうか? 珍味のからすみは子宝の象徴とされていますが、海から遠いため、せめてからすみに似たひな菓子で子供の成長を祈ったのが始まりだとのこと。 一方足助では、お雛様を見に来た子供にひな菓子をあげる「がんどう」という風習が残っています。 そこで配るのが切った竹筒をつぼに見立てた「つぼんこ」というお菓子で、ほのかな竹の香りと、中に流し込んだ寒天のやさしい甘さが絶妙なんだとか。 蒲郡に存在する超ローカルひな菓子 蒲郡市形原町にもお雛様を見て、ひな菓子をもらう風習がありますが、ひな菓子は全く違うもの。 「油菓子」と呼ばれる、小麦粉に砂糖、卵を混ぜて練り、油で揚げた素朴なひな菓子です。 この時期には各家庭から甘いにおいがしてくるそうですが、一般の家庭だけではなく和菓子屋さんでもレジ横に「油菓子」が。 ご存じスーパーヤマナカでも入ってすぐの目立つ場所に、油菓子コーナーが。名古屋のヤマナカでは見られない光景です。 さらにはおそらく世界でたった一軒であろう、油菓子専門店「もちの木」も。ひな祭りシーズンに限らず、常時10種類以上の油菓子が並びます。 他に類を見ない愛知のひな菓子文化 一体なぜ愛知には、ご当地ひな菓子が多いのか? この地方の食文化に詳しい、名古屋女子大学短期大学部長の遠山佳治教授に伺うと、愛知ほどひな菓子の多い都道府県は他にはないとのこと。 遠山教授によれば、まず愛知県は山間部や川、平野部や都会的と農家的など、多様な地域性に合った菓子が浸透したこと。 もうひとつは嗜好品である菓子の文化が発展できる、経済的ゆとりがあったのではないかとのことでした。 子供の成長を願うひな菓子。たくさんの味が、子供たちのひな祭りの思い出の味になるのでしょう。(ライター:神谷祐美)