築地市場移転へカウントダウン...豊洲の「市場前駅」周辺が凄いことになってきた
「東京一何もない駅」「都会の秘境駅」――豊洲にあるゆりかもめ線・市場前駅は、そんな異名で知られている。
都心部にあるのに1日50人強しか利用しない、駅周辺はひたすら更地でコンビニも自販機もない、誰も使わないので駅構内には広告さえ貼っていない――その「廃墟」っぷりは以前、Jタウン探検隊でもレポートしたが、その市場前駅周辺が最近、急速に脱廃墟を果たしているとの情報が飛び込んできた。
いったいどう変わったのか。2015年12月、探検隊は再び市場前駅へと向かった。
ゆりかもめ乗客が思わず写真を撮る
前回の訪問からおよそ8カ月。同じように豊洲駅からゆりかもめに乗り込み、探検隊は目的地を目指す。
「うわっ、これ何作ってるの」
「でっかいなー!」
あと一駅、と迫ったところで、乗り合わせたビジネスマン2人連れが声を上げた。筆者も、思わず声を上げそうになった。
ひたすらに更地が続いていたはずの駅前に、巨大な建築物が着々と生まれつつあったからだ。
そもそも「市場前駅」はその名のとおり、築地中央卸市場の移転を見越して作られた。しかし計画がずれ込んだ関係で、2006年の開設以来10年近く、「秘境」状態のまま放置されてきたのだ。
だがここに来てようやく本格始動、2016年11月の移転までいよいよ1年を切ったこともあり、日本最大の「魚河岸」を迎え入れるべく、駅周辺では、準備が急ピッチで進んでいるのである。
前回の写真と比べると一目瞭然
前回、写真を撮影したポイントに立って比較してみよう。
上が今回、下が前回(3月)に撮影した写真だ。3月時点では建物らしい建物もなく、豊洲方面の高層ビルがあんなにはっきり見えていたのに、写真の左右双方に、巨大な建物の骨組みがすでに出来上がっている。
特に右側、水産卸売場棟の建設進展が著しい。
事業者選びに難航しているとの話もあるが、観光客向けの施設も着々と建設が進む。
このあたりも、3月の時点では本当に単なる更地だったのだが......。
その発展ぶりは予想以上だった。いよいよ、豊洲新市場の輪郭が見えてきた感がある。
みんな意外と知らない...築地行くなら今のうち!
さて、豊洲の側の準備が進んでいるとなると、やはり「築地」が気になる。
ここに面白いデータがある。築地が会社発祥の地である、練り物でお馴染みの紀文が11月30日に発表したアンケート結果だ。
これによると移転すること自体(公共市場としての機能が豊洲に移ること)を知っていた人は全体の54.7%に上ったが、移転が2016年11月に行われる、つまりもうあと1年を切っているという事実は、わずか19.2%の人しか認識していなかった。
築地市場は単なる商業の場としてだけではなく、今や東京を代表する観光地として、国内外から注目を集めている。探検隊もこの日、合わせて築地まで足を伸ばしたが、平日の昼だというのに市場周辺は満員御礼状態で、場外のお店には長蛇の列ができていた。
紀文の調査では、54.4%が「移転前に築地に行ってみたい」と答えている。現在の「魚河岸」としての築地を見られるのは、あと1年足らずだ。