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多摩ののどかな里山に存在する「戦車道路」っていったい何?

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2015.10.21 11:00
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京王相模原線多摩境駅から徒歩5分の都立小山内裏公園は、秋の紅葉の名所として名高い。2004年に開園し、敷地面積は東京ドームの約10倍もある。

小山内裏公園の地図(東京都公園協会公式サイトより)
小山内裏公園の地図(東京都公園協会公式サイトより)

希少な存在となった植物も生育する公園内には、「戦車道路」と呼ばれる道がある。

東京郊外の多摩丘陵地帯は、高度成長期に大規模なニュータウンが建設されたが、一方で日本の原風景ともいうべき田園がところどころに残っている。
八王子市東南部から町田市北部にかけては、100~200メートルほどの尾根が続く。都心から日帰りで行ける、格好のハイキング&ウォーキングスポットだ。

「こんなにのどかな場所に戦車って......どういうこと?」という声が聞こえそうだが、第二次世界大戦中の1943年、「相模陸軍造兵廠」(現米軍相模総合補給廠)で製造された戦車の走行テストおよび操縦訓練を実施するため、旧陸軍が計画した道路の一部だった。

多摩センターまで達する長大なコースとなるはずだった

国立公文書館アジア歴史資料センターの公式サイトにアップされている資料に、当時の地図が載っている。
試験場コースは、幅20メートルの周回部と幅15メートルの「X部」に分かれ、その総延長距離は約30キロ。一部は現在の多摩センターまで達している。

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兵器工場に近く、人家が少なくてアップダウンがある――戦闘車両の性能を確認するには好立地だったに違いない。農民の里道だった用地の買収が進められたのは確かだが、実際に試験走行が行われたかは定かではない。

戦闘車両の走行用として買収された土地は戦後、防衛省の管轄となる。1960年代に車両試験道路として使われるも、都市化が進んで不都合が生じたため、北海道千歳や山梨の北富士にその役目を譲った。そして1980年代に町田市が緑道に造り替えた。

現在は「尾根緑道」と呼ばれ、ハイキングをはじめウォーキング、ランニングコースとして市民の憩いの場となっている。

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