ココからあなたの
都道府県を選択!
全国
猛者
自販機
家族
グルメ
あの時はありがとう
旅先いい話

祝ノーベル賞! 大村智さんは故郷に美術館・温泉も作っていた...「世の中の人々のためになることを」がポリシー

竹内 翔

竹内 翔

2015.10.05 19:41
0

山梨県民には嬉しいニュースが飛び込んできた。韮崎市出身の大村智・北里大学特別名誉教授が2015年10月5日、ノーベル医学・生理学賞を受賞することが決定したのだ。山梨県出身者としては初の受賞となる。

美術に造詣が深く、コレクション多数

韮崎周辺の人には、大村さんの名前からある施設を連想したかもしれない。戦国武将として知られる武田家の氏神として知られる武田八幡宮の近くにある、韮崎大村美術館だ。

富士の国やまなし観光ネットより
富士の国やまなし観光ネットより

実は大村さん、理系の研究者というイメージからすると少し意外だが、美術に造詣が深く、コレクターとして多数の作品を蒐集してきた。そのコレクションを展示する場として、2007年10月に美術館を私費を投じて開館し、さらに翌年これを市に寄贈した。大村さんは館長としての「ごあいさつ」の中で、以下のように述べている。

「私の敬愛する山本周五郎は、『全ての芸術は人の心を楽しませ清くし、高めるために役立つべきものである』と、小説『鼓くらべ』の中で語っています。もし私の人生に美術品との出会いがなかったならば、それはさぞかしつまらないものになっていたでしょう。悩み苦しんでいるとき、あるいは精神が彷徨えるときなど、私はいつも美術品に触れることで、自分を見失わずにいられた気がします。そして、それらは常に私の心を和ませ、まるで深呼吸したあとのような清々しい気持ちにさせてくれます」

近くには温泉も!作ったのは本人

この美術館には、野口小蘋、上村松園や片岡球子といった女流作家の作品が多数収蔵されている。大村さんは女子美術大学の理事長などを務めた経験があることから「女流作家たちには特に深い思い入れを感じています」(ごあいさつより)とのことで、美術館の開館にあたっても、こうした作家の作品を主軸に据えたのだという。

公式サイト
公式サイト

また美術館には見晴らしの良さを活かして、甲斐の山々を望める展望室を設けており、隣接する温泉施設「武田乃郷 白山温泉」ともども、地元の人々や観光客の憩いの場になるよう作られているという。ちなみに、この温泉も作ったのは大村さん本人。なぜ温泉を作ったのかというと――。

「兄貴は両親から『世の中の人々のためになることをしなさい』と言われて育った。村の人たちが井戸端会議をする場所が少なくなったから作ろうか、それなら風呂もあるといいという話になった」(大村さんの弟・泰三さんの言葉。朝日新聞2014年11月21日朝刊)

「世の中の人々のためになることを」――美術館設置の経緯といい、この話といい、そして何より研究者としての業績といい、まさにこの言葉に集約されるように思われる。明日からはさっそく、多くの人が訪れそうだ。

PAGETOP