壁は前衛アート、ベランダにフラミンゴ、MRIがパオーン!? 超サイケデリック!江戸川病院に行ってみた
白を基調に統一されたデザインで、清潔だけれどもどこか無機質......。病院と聞くと、やはりそんな情景が目に浮かぶのではないだろうか。
東京・江戸川区には、そんな固定概念を一蹴するような、ケタ違いに変わったデザインの病院が存在するらしい。
最新の医療機器を導入し、地元民からの信頼も厚い「江戸川病院」。その一番の特徴は、院内の至る所にデザインされた、極彩色豊かな「前衛芸術」の数々である。真っ赤な壁紙に包まれた病室や、黒を基調とした総合受付。そんなサイケデリックな雰囲気に包まれた院内の様子は、まるで「現代アートの美術館」のようだという。
そこで、Jタウンネット編集部は小岩へと向かった。そんな院内の様子を徹底レポートするためである。
エレベーターを降りると、そこは......
JR小岩駅からバスで10分ほど、悠々と流れる江戸川のほとりに江戸川病院はあった。真向いにある保育園からは園児の声が聞こえ、河川敷には犬を連れたご老人の姿も。辺りは、いたってのどかな情景だ。病院の外観もいたって普通で、そこに前衛芸術の臭いはうかがえない。
だが、院内に一歩足を踏み入れるとその雰囲気は一変した。天井は黒く塗られ、至る所に赤や黄色などの派手な彩色で書かれたイラストが描かれている。ストレッチャーで仰向けになって運ばれる患者も、思わず驚いてしまうのではないだろうか。
総合受付で、「事前に取材許可を頂いている旨」を伝えると、秘書の方が病院を案内してくれた。
まず、入院患者の病室があるという3階へ。「トンネルを抜けると――」ではないが、エレベーターを降りると、辺りはとにかく「赤かった」。床を除く全面が、赤を基調としたデザインで統一されているのである。
それぞれの病室には決まったテーマがあるようで、以下のように一風変わったデザインのものばかり。
室内のデザインを基準に病室を選ぶことはできないが、ほとんどの患者からは「個性的で楽しい」と好評なのだとか。もちろん、「ちょっと落ち着かない...」などといった患者からの要望に「できる範囲で、お応えしています」そうだ。
SFチックな更衣室に、ダンジョン風の通路? 個性豊かな診療棟
病棟以外でも、院内の各施設は個性的なデザインの場所ばかり。どうやら、各診療科ごとに異なるテーマのデザインが採用されているようだ。
このように、個性あふれるデザインに溢れた院内の中でも、一際強いインパクトを残すのが「MRI室」だという。脳の断面図などを撮影するMRI装置は、まさかの「ゾウ」になっている。取材当日は、患者の診療予定が埋まっており、室内に入ることは出来なかったが、後日担当者から画像を頂くことができた。では、その衝撃的なビジュアルをご覧いただこう。
院内には「デザイン専門」の部署もあるようで、そのオフィスも撮影することができた。部屋の中に足を踏み入れると、思わず「あぁ、なるほど...」と呟いてしまった。壁一面に、ポップアートの旗手と呼ばれるアンディ・ウォーホルの作品がプリントされていたからである。
フラミンゴにアルマジロ...、まるで動物園のよう
また、病院の中には「アニマルセラピー」の一環として、多くの動植物が飼育されていた。その種類も豊富で、キジやオオトカゲ、エミューにアルマジロなど、「ここは動物園なのか?」とツッコミたくなるほど。また、病棟のベランダで飼育されているフラミンゴとリクガメは、長寿の象徴である「鶴と亀」をイメージしたものだという。
10年ほど前に赴任した加藤隆弘院長(当時は副院長)が、「職員が楽しく働ければ、必然的に患者へのサービスが向上する」という考えで、このように遊び心溢れるデザインを導入したという。実際、この病院に入院している患者に話を聞いても、「院内を散歩しているだけで、気晴らしになる」と好意的な返答が帰ってきた。
同行して頂いた秘書の女性に、取材のお礼に「とても興味深かった」旨を伝えると、彼女は笑いながら「入院、お待ちしていますよ」との返答が。奇抜なデザインだけでなく、そこで働く職員もどこかユーモラスで個性的。ぜひ1度、あなたも入院してみては。