読んで生き残れ! 都のパンフ「東京防災」は大震災からミサイル、核攻撃にまで対応の超充実仕様
東京は人口と域内総生産がともに世界トップクラスの都市圏だが、その繁栄は災害の脅威に常にさらされている。スイスの再保険会社スイス・リーが2013年にまとめた「自然災害リスクの高い都市ランキング」で、東京・横浜は世界1位だった。
首都直下型地震、河川洪水・土砂崩れ、富士山噴火の火山灰、対処の難しい伝染病の流行――。これらの事態に東京が遭えば、ニューヨークの約2.5倍の人口密度があるだけに、大変な被害が出ることは間違いない。
危機的状況に陥ったとき、市民一人ひとりがどう行動すべきか。東京都は災害時のマニュアル「東京防災」を発行した。
メモ欄を含め323ページあるが、冗長なところは1つもない。「ガチすぎてファッ!?ってなった」「東京が壊滅した時の最終マニュアルだこれ」といった声がツイッターなどで相次いでいる。
武力攻撃も想定!
防災マニュアルは5つの章に分けて記述されている。
第1章「大震災シミュレーション」や第2章「今やろう防災アクション」の内容は、東京で生まれ育った人なら、学校や職場、メディアなどで一度は学習したことがあるかもしれない。
目を惹くのは第3章の「そのほかの災害と対策」だ。「大雨・暴風」「集中豪雨」「土砂災害」「落雷」「竜巻」「大雪」「火山噴火」に加えて、「テロ・武力攻撃」「感染症」についても注意を呼びかける。
テロ・武力攻撃の節では、ゲリラ攻撃やミサイル攻撃、化学剤や生物剤攻撃、核爆発や放射能汚染に遭遇したときの避難行動について解説している。たとえばミサイル攻撃の場合は、
「着弾地域を特定するのは困難なので、屋外にいる場合は、近隣の頑丈な建物や地下街などに避難します」
ゲリラが襲来した場合の対策はこうだ。
「被害は比較的狭い地域に限定されるのが一般的ですが、被害が拡大するおそれがあります。いったん屋内に避難してから、行政機関の指示に従いましょう」
また核爆発が起こった際には、「遮蔽物の陰に身を書くし、地下施設や頑丈な建物の中へ避難」するべきなど、できれば一生使いたくないハウツーが満載となっている。
「もしもマニュアル」は目からうろこのサバイバル教書
そして第4章の「もしもマニュアル」は、一般市民にとって目からうろこのサバイバル知識が詰まっている。
例えば、207ページの「乾電池の大きさを変える」。単3電池を単2や単1に変える方法が紹介されていて、「思いつかなかったよ...」と膝を打ちたくなる。
ガスも電気も止まったときに重宝しそうなのが「簡易コンロの作り方」だ。アルミ缶、アルミホイル、たこ糸、つまようじ、ハサミ、サラダオイルがあれば、調理用加熱器を作れてしまう。
205ページの「ハエ取り器を作る」は、夏場はハエが大量発生することが想定されるので、避難所や仮設住宅の衛生環境を守るためにハエ取りを作って駆除しましょうと呼び掛けている。ペットボトルと日本酒、砂糖、酢などがあれば誰でも用意できるだろう。
春夏秋冬、あらゆるシーズンを想定したサバイバル術が盛り込まれている。
このほかにも少ない水で清潔を保つ方法や、簡易トイレ・簡易ランタン・簡易ベッドなどの作り方、ロープの結び方などが紹介されている。
この防災マニュアルを隅々まで繰り返し読み、テクニックを要するものは自主訓練することで、非常時に生き残れる確率はグンとアップするはずだ。