昭和&シュールな空気漂う渋谷・都営バス営業所周辺を歩く
都営アパート最上階からの景色は抜群だった
同車庫は渋谷駅から徒歩15分くらいかかる。せっかくなので都バスで行くことにした。路線は都06系統の新橋駅行きで、広尾や麻布十番、東京タワー近くも通る。停留所「渋谷車庫前」は2つ目。
バスの車内はほぼ席が埋まっている。階段の乗り降りが不要な都営バスは、老人が好んで利用するイメージが強いが、若い女性も少なくなかった。目的地のバス停はあっという間。一緒に降りる人も3名ほどいた。
渋谷車庫は渋谷川を渡ってすぐのところにある。使わなくなった標識が置かれていて、少々シュールな雰囲気が漂う。
渋谷車庫の前に着いたが――立ち入り禁止の表示が目に入る。方向を転じて、都営アパートを勝手に見学させてもらうことにした。
1945年の国勢調査によると日本の人口は約7214万人だったが、1970年調査で1億人を突破する。住宅不足の解消は喫緊の課題で、広い敷地を有する都営バスの車庫は共同住宅を建てるのに格好の場所だった。
昭和40年代(1965~1974年)、このような建物が各地で建設される。
昨年11月に板橋区西台の都営アパートを見学したときは、ガムテープの貼ってあるポストの多さに閉口した。
ところがこちらのアパートはガムテープが見当たらない。代官山と渋谷、恵比寿からそれぞれ徒歩圏内にあることから、入居希望者は後を絶たないようだ(参照:三田線車両基地の真上にそびえたつ「都営西台アパート」...昭和が生んだ巨大団地の現在)。
エレベーターで最上階へ。共用の廊下から渋谷駅や六本木、田町方面を一望できた。
天気のいいこともあって、すこぶる爽快な気分になった。しばらくぼんやりしていたかったが、住民もいらっしゃることなので早々に退散した。
せっかくなので車庫周辺を散策した。最近の高層マンションの小洒落た雰囲気はかけらもないが、重厚感がある。カメラの被写体としては申し分ない。味わいではむしろ上回っている。