「米を水に浸す」を何と言う?→「『うるかす』を標準語にしよう」
突然だが、Jタウンネット読者は「うるかす」という言葉を聞いたことがあるだろうか。「何かを水に漬けて、水を含ませる」と表現するときに用いられる方言だ。
例えば、「米うるかしといて」は「米を炊く前に水に浸けておいて」という意味に相当する。
きっかけは福島出身者との会話で出た「米うるかしといて」
「うるかす」の話者はどの地域にいるのか、ネットを使って調査している人物がいる。「マンガ建築考」の著者、建築エコノミストの森山高至さんだ。
そもそものきっかけは、彼の友人(福島出身)とのこんなやりとりに始まる。
福島県の友人に「米うるかしといて」「うるかす?」という一件をきっかけに「お米を炊く前に米を研いで水に浸して含水させること」を、きちんと表現できる言葉が標準語にはないよね、必要だよね、をテーマに「うるかす」を調べています。 pic.twitter.com/EKOa1PlbyI
— 建築エコノミスト森山 (@mori_arch_econo) 2015, 3月 2
話者はどの範囲にまたがっているか。ネットユーザーから寄せられた声を元に作成された「全国うるかすマップ」は以下の通り。
上のマップを見る限り、うるかすの使用範囲は北海道から東北地方全般、そして新潟県や栃木県北部にも一部かかっている。
一方で新潟県から富山県にかけては「ひやかす」、西日本の広い地域で「かす」、そして群馬県や山梨県、熊本県などで「ほとばす・ほとびらかす」といった表現が、同様の意味で用いられているようだ。
食器の片付け時にも「うるかす」
「うるかす」は「潤かす」とも書ける。米を水に浸すだけでなく、食事に使った食器をたらいに入れ、水に漬しておくときにも用いられる。
北海道観光振興機構公式サイト「北海道ぐるり旅」には、以下の使用例が代表的な北海道弁として載っている。
うるかす(水に浸けておく・水に浸し湿らす)
「お米をといでうるかす」(お米をといで、水に浸けておいて)
「この茶碗うるかしといて」(この茶碗、水に浸けておいて)
こうしてみると、「うるかす」は確かに便利な表現だ。「かす」では簡略すぎる印象があるし、「ひやかす」では聞き手によって混乱が生じる恐れがないとはいえない――。
上述の森山さんは、標準語にこの「うるかす」を加えては――と提案している。