駅のピクトグラムから「200系」新幹線が間もなく消える?
JR東京駅は、九州新幹線を除く全国の新幹線が乗り入れる東京の玄関口だ。東海道新幹線はJR東海が、それ以外の東北・山形・秋田・上越・長野新幹線はJR東日本がそれぞれ運営する。
ところで、JR東日本の新幹線は長らく"団子鼻"の200系がピクトグラム(アイコン)に用いられてきたが、最近あちこちの施設で「はやぶさ」E5系に置き換えられている。
上の写真は2月23日に編集部が東京駅で撮影したもの。緑のピクトグラムはJR東日本の新幹線を示すが、右側が200系なのに対し、左側はE5系となっている。
長野新幹線は1997年の開業以来ずっと長野駅止まりだったが、2015年3月14日ついに金沢駅まで延伸する。これにより、従来の長野新幹線という名称は「北陸新幹線」に統一される。
ピクトグラムに思い入れのある鉄道マニアの間からは、北陸新幹線開業を期に東京駅から200系のピクトグラムが消えてしまうのではないか......と懸念の声が挙がっている。
Jタウンネット編集部は、現在のピクトグラム状況を確かめるため東京駅へ向かった。
あれ、200系のピクトグラム結構多いぞ!?
東京駅の地上ホームは1~23番線まである。1~10が在来線で、11~13番線は欠番、14~19が東海道新幹線、20~23が東北・山形・秋田・上越・長野新幹線となっている。
少々ややこしいが、1~10と14~19が20番台を挟む形になっている。地下ホームの総武本線・横須賀線と京葉線はこれに含まれない。さすがは日本を代表するターミナルだ。
筆者が確認した限りだと、新幹線の乗り場を「14~23」と一括りで示すときは新ピクトグラム(はやぶさ)の採用率が高い。
一方でJR東日本の新幹線の有人窓口や改札付近は旧ピクトグラムがまだまだ残っている。JR東日本と東海の新幹線を別々に誘導する場面では、デザインに差のある200系の方が分かりやすい。
個別誘導で新ピクトグラムが使われているところもある。
南通路で見かけた案内標識は、他の標識と異なり「23~14」と降順になっている。そしてピクトグラムは団子鼻だ。利用者の立っている位置および方向に応じて数字の並びを変えているのだろうか。
東京駅の北通路・丸の内寄りの案内標識は、新幹線乗り場を「14~23」と一括りにしているにもかかわらず団子鼻アイコン。これは古いタイプか。
駅の構内図は新ピクトグラムで統一されている。
上野駅はどうなっているのか?
JR東日本としては団子鼻を使い続けたい。しかしJR東海と歩調を合わせるため、単に「新幹線」と案内するときは「はやぶさ」を採用している――そんな仮説を立てた筆者は、東北新幹線の最初の停車駅である上野へ向かった。
「団子鼻のピクトグラムだらけかもしれない」。そんな筆者の予想は、京浜東北線・山手線内回りホームに降り立った瞬間みごとに覆された。
いきなりの「はやぶさ」。2Fコンコースを周回しても同じアイコンだ。JR東日本が旧ピクトグラムにこだわっているわけではなさそう。
東北縦貫線(上野東京ライン)に伴う改良工事が進められている上野駅。2015年3月14日以降、東京駅以上に乗り場は変動する。それもあって案内標識も変えたのだろう。
下りエスカレーターに乗って、2Fコンコースから新幹線乗り換え口へ向かう。すると目に飛び込んできたのは、200系のピクトグラムだった。
いかにも費用と手間がかかりそうな箇所。急いで修正する必要がないから後回しにしていると思われる。
「いつの日か、これらも新ピクトグラムに統一されるのかな」。そう思いつつ構内を歩いていると、床のタイルに案内標識のアイコンが埋め込まれていることに気づいた。200系が採用されている。かすれ具合からみて、かなり前に設置されたものらしい。
上野駅周辺は、東京都美術館や上野の森美術館、国立西洋美術館、東京藝術大学など、日本有数の美術館・博物館エリアだ。さすがに意匠が可愛らしい。
筆者の視線は、中央改札口の上に掲げられた「自由」に向いた。1951年作の壁画は駅のシンボルとして利用者に親しまれている。
駅の案内標識は統一するのがセオリーだが、たまにはイレギュラーなものがあっていい。芸術の町・上野ならなおさらだ。
遠からず標識の「200系」は消えていくのだろうが、床タイルのアイコンぐらいは、壁画の自由のように、末永く残ってほしいと思うのは筆者だけだろうか。