「ラーメン一杯に払える値段」、福岡県民は日本最安レベルだった
ラーメンの源流は横浜中華街にあるといわれる。全国各地に広がっていくにつれ、独自に進化した「ご当地ラーメン」が各地で熱烈なファンを獲得するようになった。
日本三大ラーメンは札幌・喜多方(福島)・博多と言われる。それぞれの地域の投票傾向はどのようになっているのか。
(前回の記事)
「ラーメン一杯に払える値段」の全国平均、「802円」だった! それ以上は高すぎ!?
600~1000円に集中する北海道
北海道は札幌が生んだ味噌ラーメンがなんといっても有名だ。旭川のしょう油、函館の塩も見逃せない。
道民の投票傾向をみると、最頻値は「800円まで」で、次いで「600円まで」を支持する人が多かった。「ワンコインじゃ足りないけど、1000円出すのはちょっと...」と考えているのだろうか。平均774円。全国よりはやや安い。
投票先が分散している喜多方
人口当たりの店舗数では日本一ラーメン店が多いといわれる福島県旧喜多方市。昭和初期に中国人が伝えた調法はやがて市内に広まり、1980年代半ばに全国的なブームが訪れた。ご当地のラーメンのベースはしょう油味の豚骨スープで、とろける焼豚のチャーシューも主役級の存在感を醸し出す。
北海道と比べて投票先が分散している。最頻値は「600円まで」だが、「1000円まで」も19.2%の支持がある。横棒グラフの2つの山が400円離れていることを考えると、シンプルなラーメンは600円、トッピング込みで1000円が限度ということかもしれない。結果として、平均819円とほぼ全国並みの数字に。
ワンコイン派が意外に多い神奈川
豚骨しょう油でブランドを築いた「(横浜)家系」の元祖、吉村屋は横浜駅西口にある。港北区にある新横浜ラーメン博物館や、中華街にある店のまかない料理として生まれたサンマーメンなども有名だ。横浜中華街があることを踏まえると、神奈川はラーメンの聖地といっていいだろう。
ワンコイン=500円の得票率は9.4%と北海道や福島より高い。一方で「2000円まで」にも票が入っている。リッチ層から庶民までラーメン党が幅広く分布する神奈川。それぞれの客層にマッチした店がしのぎを削っていることが伺える。
激安ラーメンの本場、福岡
博多ラーメンと久留米ラーメンという、有名ご当地ラーメンが2つもある福岡。1980年代に全国に知られるようになった博多ラーメンは、豚骨白濁スープのトンコツ味。その存在を知らなかったラーメン好きに衝撃を与えた。中洲や長浜の屋台は日本人のみならず外国人観光客にも人気がある。今では当たり前になった「替え玉」発祥の地でもある。
豚骨白濁スープでは博多の先輩にあたる久留米ラーメン。より白濁していて麺も中太(博多は細麺の傾向あり)。どちらも値段の安さは共通している。
投票傾向をみると「500円まで」「600円まで」で56.8%以上を占める。一方で「801~2000円」の合計得票率は9.2%しかない。平均は664円。前の3道県とは明らかに傾向が異なる。
ブラック系ラーメンの本場はリッチ志向!?
東日本と西日本の狭間に位置する富山県。昆布消費量が日本トップクラスで、ラーメンも昆布をだしに使っているケースが多い。塩辛くて黒いスープの「富山ブラック」のイメージが強いが、白エビなど海の幸を用いたラーメンも定評がある。
人口10万人当たりのラーメン店舗数は全国上位。ラーメン激戦区であることは案外知られていない。店ごとにオリジナルの味を追求する傾向が強いそうだ。
そんな富山県の投票傾向は見事なほど分散していて、横棒グラフの「山」がない。「いくらでもOK」を除く全ての選択肢に投票がある。「600円まで」と「700円まで」の得票率はともに17.1%で、「800円まで」「900円まで」「1000円まで」の3つが14.6%となっている。平均は863円。全国6位の高水準だ。
うどん文化圏の四国で孤軍奮闘の徳島は...
うどん県こと香川は、ラーメン一杯に払える金額の上限が718円と全国平均を80円以上も下回った。福岡も隠れ「うどん県」であることを考えると、低価格な競合麺類が地元にあると、ラーメンに求める価格も安くなる可能性は高い。
ところが同じ四国の徳島は、全国で5番目に上限金額が高い871円だった。隣り合う県でこれほど差が出るのも珍しい。
そのご当地麺といえば徳島ラーメンが有名だが、「全国ご当地ラーメンうんちく紀行」(小野員裕著)によると、県内にあった徳島ハム(現・日本ハム)から大量の豚ガラが廉価で出回り、手軽にラーメンスープができるようになったからだと言われている。
主流は「白い」豚骨スープだが、「黒系」「黄系」も存在する。具に豚バラ煮を入れるところは共通している。
投票傾向をみると、「600円まで」「800円まで」「1000円まで」の3つが得票を集めている。決して人口は多くない徳島だが、スープのバリエーションが豊富なところを見ると、ラーメンに対する思い入れも人それぞれなのかもしれない。
以上見てきたとおり、「ご当地ラーメンが盛んな土地では、上限金額が高い(安い)」という統一的な傾向を見出すことはできなかった。一方で福岡を初め、地元でのラーメン文化(麺文化)の影響は、高いにつれ安いにつれある程度うかがうことはできる。