エスカレーターで立つのは右か左か...その「境界線」を徹底調査!
エスカレーター。東京では左側に立って右側を空けるのに対し、大阪は右側に立って左側を空けておく。このルールは全国にどのように広がっているのだろうか。
Jタウンネットは2014年9月30日~10月27日の28日間、「エスカレーターで立つのは右と左のどちら?」というテーマでアンケートを実施し、1817人に回答いただいた。
なお、今回のアンケートで投票率0%の県はない。
全国の総数で見ると、「左」が57.0%で「右」が21.5%。「どちらも。流れ次第」が12.5%と続き、「片側空けはしない」は9.0%だった。
地方別にみると、関西は「右」に立つのが優勢で57.7%を占めたが、それ以外に「右」が多数派だった地域は一つもなかった。
大部分の地方の「右」支持率は3~16%の範囲内に収まっている。とくに青森・山形・長野・島根・大分の5県で「右」に投票した人は誰もいない。
京都では「左」が優勢
次に県ごとの傾向を見ていこう。
「右」の得票率の高かったベスト5のうち4つまでが関西地方が占めている。
最多支持率だったのは大阪ではなく「奈良」の75%。「兵庫」が70.7%と続き、「大阪」は67.7%だった。関西以外の出身で現在大阪に居住している人が投票したのかもしれない。
同じ関西地方でも、「京都」は「左」が「右」を10%ほど上回る。「どちらでも。流れ次第で」の得票率も31.4%と高い。
京都は国内外から多くの観光客が訪れる。そのため首都圏と同様のルールが一部に定着しているというのが定説だ。大阪と京都は50キロも離れていないが、こうも習慣が異なることに改めて驚く。
和歌山・岡山「片側空けはしない」
大阪・奈良との交流が太い和歌山。両府県同様「右」の得票率が最も高かったが、「片側空けはしない」も36.4%の支持を集めた。これは全国で最も高い数字だ。
ちなみに岡山も「片側空けはしない」の得票率が比較的高く、28%は全国2位。対して「右」の得票率16%はほぼ全国平均並み。「右」エリアの周縁に、「片側空けしない」派がそろっているのは興味深い。
四国でも比較的「右」多し
「右」は関西に集中していると書いたが、その例外が四国だ。地方全体の「右」率は23.4%、特に関西圏の影響が強いと言われる徳島では、37.5%にも達した。
最も「左」が多い県、意外と「右」が多い県
「左」の得票率が全国一高かったのは茨城県で、88.2%を占める。
「右」に一票も入らない県も多かった東北地方だが、最も人口の多い宮城県における「右」の得票率は18.8%で、「左」が59.4%。東日本の中ではやや「右」が多いのは、関西からも人が集まるいわゆる「支店経済」の所以か。
九州の中心である福岡は、「どちらも。流れ次第で」の得票率が2%と、全国でもトップクラスに低いのが特徴的だ。
愛知県稲沢市にある三菱電機稲沢製作所は、世界90カ国以上に昇降機(エレベーター・エスカレーター)を送り出してきた。曲線型エスカレーターを製造しているのは、世界でもこの工場くらいらしい。
そんなエスカレーターの製造拠点の1つである愛知だが、「片側空けはしない」が18.3%とやや多いのが目立つ。エスカレーター作りに携わる人の多さが、寿命を縮めると言われる「片側空け」への抵抗感を醸成したのかもしれない。
昔は「エスカレーターガール」もいた
ちなみにエスカレーターは40~50年くらい前は百貨店くらいしか存在せず、東京・新宿の小田急百貨店にはエレベーターガールならぬ「エスカレーターガール」という名の案内スタッフが存在した。
国土交通省のレポートによると、2005年末のエスカレーターの保守台数は5万7437台にのぼる。その年のエスカレーター事故は9件あったが(建築基準法の対象のみ)、その全てが利用者要因だった。
小さい子供や老人等を除けば乗る際にまごつくことはめったにないけれども、普及期はサポートする人が必要だったのかもしれない。
また最近では片側空けをせず、中央に立つよう求めるところも増えてきた。こうした地域差も、やがては消えていくのだろうか。
Jタウン研究所ではほかにも、さまざまな地域差を調査している。ご興味を持たれた方は参照してほしい。
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(2022年5月18日18時50分編集部追記:全国の結果の表記に誤りがあったため、修正しました)