トマソン第1号「四谷の純粋階段」は今どうなっているのか
赤瀬川原平さんが亡くなった。
思い出すのは中学校1年のころ、当時の国語教師から赤瀬川さんの「トマソン」について聞かされたことだ。さっそく影響を受けて、夏休みに近所にトマソンはないか探し回ったことを覚えている。
ふと調べてみると、赤瀬川さんが「トマソン」探求を始めるきっかけになったという「四谷の純粋階段(四谷階段)」は、勤め先のすぐ近所だった。
これも何かの縁と、昼飯がてらにその「四谷階段」を探しに行ってみた。
何のためにあるのかわからない階段
それは今から42年前の1972年。
赤瀬川さんらが四谷の旅館「祥平館」の裏手を歩いていたところ、どこにもつながっていない、単に「上って下りるだけ」の階段を見つけたのがトマソンの事始めだ。
この階段は「純粋階段」、あるいは四谷怪談をもじって「四谷階段」と名付けられ、以後次々と「発見」されるトマソンの栄えある第1号となった。
さて、この四谷階段の今は――。
Google Mapを頼りに、四ツ谷駅を出て、外堀通り沿いに「祥平館」を探して歩くこと、およそ1分。
駅のすぐそばに、「祥平館」はあった。
しかし建物自体は、すでにビルになっていた。
せっかくなので、裏手に回ってみることにする。
旅館のすぐ裏だとすれば、このあたりだろうか――と、猫一匹入るのがやっとの路地を覗いてみたが、それらしき姿は見えない。
なんでも、外堀通りの拡張に伴い、旅館を現在のビルに建て替えたのだそうだ(別の場所でホテル営業は続いている)。それもずいぶん昔のことで、「四谷階段」をしのぶには、あまりにも遅すぎた話だったようだ。
ちなみに赤瀬川さん自身も2000年代にここを訪れ、この代替わりしたビルと対面していたという。他の赤瀬川さんらが「発見」したトマソンも、すでに姿を消したものが多い。
受け継がれる「面白がり方」
しかし、今もネット上では、多くのトマソンが発見され続けている。
タイはバンコクにあるトマソンだそう。(友人撮影) pic.twitter.com/RGZ08hDsAk
— 伊藤健太 (@ITO_KEN) 2014, 7月 18
こんなものを見つけた。#トマソン pic.twitter.com/eTMQLNeUYN
— Akira Oya (@akira_1989) 2014, 4月 9
今日、見つけた一本足のガードレール。こういう街道上のトマソン、すごく興奮します。\(//∇//)\ #ガードレール pic.twitter.com/Hn4yzKuQMK
— みつをこーき (@mitsuwo117) 2014, 4月 20
新宿のトマソン pic.twitter.com/WEoqjPQESr
— syo (@GlassesSheep) 2014, 7月 1
消えた純粋階段を前に、「面白がり方を見つける」ことの偉大さを改めて思いつつ――さて、お昼休みはそろそろ終わりだ。