気象庁、「埼玉県沖」に警報発令!?←えっ
大型で強い台風8号が東シナ海を北上している。2014年7月10日には九州地方に接近または上陸し、日本列島を横断する可能性も。台風の接近で梅雨前線が刺激され、東北や北陸地方でも雨脚の強まっている地域がある。
気象庁HPに表示された(?)謎の4文字
9日朝の関東地方は、一部で雨が降ったものの大した量ではない。首都圏にお住いの方なら、今朝は傘を差さずに出勤または登校した人が多いだろう。
日本の天候状況を観測する組織として気象庁は絶対的な存在だ。9日の午前中、同庁ウェブサイトに「埼玉県沖」に土砂災害警戒情報が掲載されたという情報が流れ、ネットでちょっとした話題となっている。
言うまでもなく埼玉県には海がない。「沖」は通常「海または岸から遠く離れた所」という意味で用いられる。
もう一つ、「広々とした田畑や野原の遠い所」という意味もある。あるいは、「埼玉県沖積平野」(さいたまけんちゅうせきへいや)の略なのだろうか。確かに埼玉県の半分以上は関東平野が広がっているけれども――。
ネットでは次のような反応が相次いだ。
「埼玉に海ができた」
「どこだよ埼玉県沖って...埼玉に海はないって言ってるでしょ」
「埼玉県沖ってしらこばと水上公園だろ」
「そうか...埼玉県沖か...千葉は海底って事か...」
......あれ?
「「埼玉県沖」というのは気象用語で存在します。沖というと海を想像しがちですが、それだけでは無く湖も指します。よって普通にあるので、誤植でもなんでも無いです。」
とそれらしく解説する人もある。
だがよくよく考えれば、「東京湾」「千葉県内房/外房」など近隣の県に関する情報は出ていないのに、埼玉県沖が単独表示されるのは不思議だ。
9日13時現在、埼玉県沖の文字は同警戒情報ページには存在しない。また、埼玉県の河川砂防防災情報システムのウェブサイトにもそれらしき表示はない。そもそも、画像にあるように特別警報が発令されたなら相当大きく報じられるはずだが、その痕跡もない。画像をよく見れば、画面の時刻も1時と投稿時間よりかなり前のものだ。第一、落ち着いて考えてみれば「沖」で土砂災害というのも......。
実は埼玉県、土砂災害のリスクあり!
ところで、埼玉県が2003年に公表した「土砂災害箇所一覧」によると、県内に危険個所は4219もある。内訳は土石流危険渓流が1202、急傾斜地崩壊危険箇所が2907、地すべり危険箇所が110。山地の占める割合が高い秩父地方が中心だけれども、さいたま市にも急傾斜地崩壊危険箇所は45箇所ある。
また1947年9月に発生したカスリーン台風では、利根川が決壊して東部・利根地域のかなりの部分が水没した。利根川はもともと東京湾に注いでいて、江戸幕府が江戸川(もとは渡良瀬川の下流部)、さらに鬼怒川へ人工的に付け替えた。土木技術が発達するまでは水害の多い地域だったのである。
今回の出来事を笑いごととして済ますのではなく、啓示の一種と受け止めて、用心を怠らないことが肝要だ。