この自動販売機...自動じゃない?! 隠れた葛飾名物「立石バーガー」を君は知っているか
映画「男はつらいよ」や、漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の舞台として知られる東京都東部の葛飾区は、住宅と昔ながらの商店街、中小企業の工場が混在する、いかにも下町の雰囲気が漂うエリアだ。
2006年に大型ショッピングモール・アリオ亀有がオープンしたり、2013年4月に東京理科大学がキャンパスを構えたりと、葛飾にもモダンな施設が少しずつ増えている。
その一方で、大手バーガーチェーンとは一線も二線も三線も画す店が同区堀切にあった。
筆者が降り立った駅は京成電鉄本線の堀切菖蒲園。江戸時代から続く花の名所・堀切菖蒲園の最寄駅でもある。
店のオーラがゼロのようで、実はプンプンしてる
目当ての店「立石バーガー」は、駅から7分ほど歩いた平和橋通り妙源寺交差点付近にある。店そのものはオーラを消したようなただずまいだったが、その中にキラリと光るアクセントがあり、店の前を通るとすぐに分かった。
噂の自動販売機は入口の右の方に設置されていた。案内板は新聞や雑誌から拾った文字を手で貼り付けたかのようだ。誘拐犯が作る手紙っぽい。
右上に100円玉投入口、その下に万が一用の呼び鈴がある。本当に反応するのか不安になり、店員に確かめるべく店のドアを開けた。
「外で100円玉入れてくれれば、出しますよ」
店内は省エネ節電中のため薄暗い。東京電力がバンバン値上げしたからなぁ~。経営者の苦労が察せられる。バーガーをはじめ食パンやサンドイッチ、ソフトドリンクなども販売している。
狭いながらもイートインできるスペースもあるけれども、ここで食べてしまっては自動販売機を使う意味がなくなってしまう。ここはぐっと我慢。
右壁面にはボードがあり、客のメッセージやマスコミの名刺が飾られていた。
店の左側は、内部から見ると以下の写真のようになっている。
奥の方にいた店長に「立石バーガー1個ください」と筆者が声をかけた。すると――
「1個でいいの? 100円だよ」
と返事が。予想に違わぬ安さだ。消費税増税前もこの値段だったということは...事実上値下げしたということか。
「じゃあ2個くださ...」と言いかけたところでハッと思い出す。自販機で買わないと来た意味がない! 私は何をやっているのか......。「自販機で買いたいんですが、どうすればいいですか?」と尋ねると、ああ、そういうことねという表情で店長は次のように説明した。
「外で100円玉入れてくれれば、出しますよ」
マヌケなコントみたいだったが、表に出て100円を投入。すると......出てきました! サイズはそんなに大きくないけれども丁寧に包装されている。ここまで説明したら分かるとおり、全自動ではなく店長が手動で出してくれる仕組みだ。
店内のカウンターで食べちゃおうかと考えたが、薄暗い環境だと撮影に苦労しそうだと判断し、自宅に持ち帰ることにした。
開封したバーガーは、ストアなどで売っている100円バーガーっぽい。分厚くはないけれどハンバーグと野菜が挟んであり、ソースとマヨネーズがかかっている。ネットでは「バンズ(パン生地)が固くてパサパサする」という声を多く見かけたけれども、電子レンジで温めたので美味しく食べられた。
この内容で100円は適正だ。買う楽しみを加味するなら十分お買い得といえよう。
底知れぬ魅力が伝わる公式ウェブサイト
立石バーガーは公式ウェブサイトもあり、なかなかいい雰囲気のデザインになっている。店で会った店長は割と静かな人物という印象だったが――どうやら筆者の探求は足りなかったようだ。近くに行く用事があったら、また訪問してみたい。